4 / 104
いよいよ学校へ
しおりを挟む
真猫が果たして学校でまともに授業を受けることができるのかという周囲の不安は、養護教諭の宿角玲那がどうにか彼女を手懐け、いや、信頼関係を築くことができそうだという感触が掴めたことでいくらかは和らいだようだった。それにより真猫はさっそく翌日から学校に通うこととなった。
ただし、宿角玲那は彼女とうまくやれるとしても他の生徒とはどうなるかという点においてはまだまだ未知数だった為、まずは一時間だけ、他の特別支援学級の児童と一緒に過ごさせ、徐々に慣らしていく形で進めることとなった。
笹蒲池桃弥もその辺りのことについては口出ししなかった。
『僕は専門家でもないしカウンセラーでもないからね』
基本的には学校でのことは学校に任せるつもりだった。
彼はあくまで、家庭での彼女の面倒を見るだけなのである。家事などについてはハウスキーパーを雇っているのでそちらに任せきりだし、ベビーシッターなどを雇うことも検討したが、彼女ほどに特殊な子供と上手くやれるようなベビーシッターなど、おそらく普通では見つけられないだろうと考えて早々に諦めた。
何度もベビーシッターを呼び寄せて真猫と面談させるのも面倒だ。それに、彼女のクセのようなものを掴むには、たぶん、自分の方が向いているという予感もある。
学校の帰りに大型スーパーに寄ってランドセルを買った。味も素っ気もないシンプルな赤いランドセルだった。彼女が興味なさそうだったから、一般的に見て一番無難なそれにしたのだ。
とは言え、今はまだ問題無くても、真猫はようやく一年生として学校に通うことになる訳で、
『十七歳でランドセルっていうのはさすがに違和感がすごいことになりそうだなあ』
というのも頭をよぎったが、
『ま、それはまた後々考えればいいか』
と無視した。
他にも必要な学用品を買い込むと結構な量になってしまった為、桃弥はそれらを配達してもらうことにした。この後すぐに届けてもらうように依頼する。
『こんなの持って帰れる体力ないもんな』
と思ったし、何よりそこまで面倒なことはしたくなかったのだった。
買い物の間、彼女は非常に大人しくしていた。カラフルな文房具を不思議そうに見ていたりはしたものの、別に悪戯をするでもなく、ずっと彼の傍らにいた。見知らぬところで余計なことをするよりは、信頼できなくても見知った彼の傍にいることの方が安全だと考えたのかもしれない。
こうして学校に通う準備の一つが整ったのだった。
ただし、宿角玲那は彼女とうまくやれるとしても他の生徒とはどうなるかという点においてはまだまだ未知数だった為、まずは一時間だけ、他の特別支援学級の児童と一緒に過ごさせ、徐々に慣らしていく形で進めることとなった。
笹蒲池桃弥もその辺りのことについては口出ししなかった。
『僕は専門家でもないしカウンセラーでもないからね』
基本的には学校でのことは学校に任せるつもりだった。
彼はあくまで、家庭での彼女の面倒を見るだけなのである。家事などについてはハウスキーパーを雇っているのでそちらに任せきりだし、ベビーシッターなどを雇うことも検討したが、彼女ほどに特殊な子供と上手くやれるようなベビーシッターなど、おそらく普通では見つけられないだろうと考えて早々に諦めた。
何度もベビーシッターを呼び寄せて真猫と面談させるのも面倒だ。それに、彼女のクセのようなものを掴むには、たぶん、自分の方が向いているという予感もある。
学校の帰りに大型スーパーに寄ってランドセルを買った。味も素っ気もないシンプルな赤いランドセルだった。彼女が興味なさそうだったから、一般的に見て一番無難なそれにしたのだ。
とは言え、今はまだ問題無くても、真猫はようやく一年生として学校に通うことになる訳で、
『十七歳でランドセルっていうのはさすがに違和感がすごいことになりそうだなあ』
というのも頭をよぎったが、
『ま、それはまた後々考えればいいか』
と無視した。
他にも必要な学用品を買い込むと結構な量になってしまった為、桃弥はそれらを配達してもらうことにした。この後すぐに届けてもらうように依頼する。
『こんなの持って帰れる体力ないもんな』
と思ったし、何よりそこまで面倒なことはしたくなかったのだった。
買い物の間、彼女は非常に大人しくしていた。カラフルな文房具を不思議そうに見ていたりはしたものの、別に悪戯をするでもなく、ずっと彼の傍らにいた。見知らぬところで余計なことをするよりは、信頼できなくても見知った彼の傍にいることの方が安全だと考えたのかもしれない。
こうして学校に通う準備の一つが整ったのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。
「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」
「・・・?は、はい」
いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・
その夜。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる