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ほのぼのの章
抱き締めて♡
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二時間ほど原稿をしたためて、しかし集中力が途切れてきたことを感じたアオは、それ以上無理をすることもなかった。
文字数にして約六千。特に調子のいい時なら八千文字は行くこともあるが、まあ彼女にとっては<普通>だった。
非常にノッて一気に書き上げられたものが必ずOKされるかと言えば実は必ずしもそうではなく、この辺りもまた、アオにとっては、
『よく分からないな~…』
と感じる原因でもあった。
ただ、それで腐ることもない。自分と他人の感性は違うというのはよく分かっているからだ。
頭が疲れてきたことを感じ、また眠気が差してきたことで、アオは再びミハエルが眠るベッドへと潜った。
その気配をミハエルも察していたものの、わざわざ起きて声を掛けることもしない。それをすればアオが逆に気を遣うのが分かっているからだった。
だから寝たふりをしたまま彼女を迎え入れる。
『ん~ふふふ♡ ミハエルぅ~♡』
もうすっかり春でありながら冬用の布団をそのまま使っていることで、中はすぐに暑いくらいに温かくなる。そこで自分の足をミハエルの足にそっと触れさせるとひんやりとしていてそれが気持ち良かった。
その心地好さを感じているだけで、アオはスーッと眠りに落ちていくのだった。
それから三時間後、今度はミハエルが目を覚まし、体をそっと起こした。
するりとベッドを抜け出すが、気配を察したアオが、
「あ…起きるの……?」
と声を掛けてきた。
何気なく意識を向けると、カーテン越しの外の気配は既に夕方のそれだった。
「まだ寝てていいんだよ」
ミハエルはそう声を掛けるが、アオは、
「うう~ん、ミハエルぅ~♡」
と鼻にかかった声を上げて、布団の中から手を広げた。
『抱き締めて♡』
という仕草だった。
「しょうがないなあ……」
ミハエルはそう呟くものの、その表情は嬉しそうに微笑んでいる。
彼にとってもアオが甘えてくれるのは実は心地好いものだったからだ。
幼い子供にしか見えないミハエルが、大人の女性を軽々と抱き起こす様子は、知らない人間が見たら驚くような光景だろう。
でも二人にとっては当たり前のことだった。
こうしてミハエルに起こしてもらったアオは、彼と一緒に歯を磨き顔を洗い、時刻は夕方だが<朝食>に当たる食事を一緒にとることになった。
「バゲット(フランスパン)でいい?」
そう尋ねるアオに、ミハエルが、
「いいよ♡」
と応える。
そのやり取りもとても穏やかで甘い雰囲気を漂わせていた。
けれど不思議と<恋人同士>のそれとはどこか違う印象もあった。
やはり、<仲のいい家族>のそれだったのだろう。
文字数にして約六千。特に調子のいい時なら八千文字は行くこともあるが、まあ彼女にとっては<普通>だった。
非常にノッて一気に書き上げられたものが必ずOKされるかと言えば実は必ずしもそうではなく、この辺りもまた、アオにとっては、
『よく分からないな~…』
と感じる原因でもあった。
ただ、それで腐ることもない。自分と他人の感性は違うというのはよく分かっているからだ。
頭が疲れてきたことを感じ、また眠気が差してきたことで、アオは再びミハエルが眠るベッドへと潜った。
その気配をミハエルも察していたものの、わざわざ起きて声を掛けることもしない。それをすればアオが逆に気を遣うのが分かっているからだった。
だから寝たふりをしたまま彼女を迎え入れる。
『ん~ふふふ♡ ミハエルぅ~♡』
もうすっかり春でありながら冬用の布団をそのまま使っていることで、中はすぐに暑いくらいに温かくなる。そこで自分の足をミハエルの足にそっと触れさせるとひんやりとしていてそれが気持ち良かった。
その心地好さを感じているだけで、アオはスーッと眠りに落ちていくのだった。
それから三時間後、今度はミハエルが目を覚まし、体をそっと起こした。
するりとベッドを抜け出すが、気配を察したアオが、
「あ…起きるの……?」
と声を掛けてきた。
何気なく意識を向けると、カーテン越しの外の気配は既に夕方のそれだった。
「まだ寝てていいんだよ」
ミハエルはそう声を掛けるが、アオは、
「うう~ん、ミハエルぅ~♡」
と鼻にかかった声を上げて、布団の中から手を広げた。
『抱き締めて♡』
という仕草だった。
「しょうがないなあ……」
ミハエルはそう呟くものの、その表情は嬉しそうに微笑んでいる。
彼にとってもアオが甘えてくれるのは実は心地好いものだったからだ。
幼い子供にしか見えないミハエルが、大人の女性を軽々と抱き起こす様子は、知らない人間が見たら驚くような光景だろう。
でも二人にとっては当たり前のことだった。
こうしてミハエルに起こしてもらったアオは、彼と一緒に歯を磨き顔を洗い、時刻は夕方だが<朝食>に当たる食事を一緒にとることになった。
「バゲット(フランスパン)でいい?」
そう尋ねるアオに、ミハエルが、
「いいよ♡」
と応える。
そのやり取りもとても穏やかで甘い雰囲気を漂わせていた。
けれど不思議と<恋人同士>のそれとはどこか違う印象もあった。
やはり、<仲のいい家族>のそれだったのだろう。
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