クセの強い喪女作家のショタ吸血鬼育成日記

京衛武百十

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ナイトストーカーの章

見せかけ

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世の中には、他人からは<良い親>に見える親の子供が問題を起こし時には事件になってしまうということがある。

それは何故なのだろう?

これは結局、その人の本質までは見ていない第三者には『良い親に見えている』だけで、その本質は必ずしも『良い』とは言えない場合があるということなのかもしれない。

対外的な体裁を取り繕うことにばかり意識を向けて、我が子の<話>に耳を傾けないことで、子にとって<尊敬できない親>になってしまっているのではないだろうか?

他人からは<良い人>に見えていても、それはただ単に、

『都合の悪いことには目を瞑って見ないフリをすることで、自らを善人のよう見せかけている』

だけなのかもしれない。

そう。子供が不穏なことを考えていてもそれに気付かない、もしくは気付かないフリをして、問題をうやむやにしようとしてきただけなのかもしれないのだ。

自分達以外の誰かがそれを解決してくれることをただ期待して。

だがそんな都合のいい話は滅多にない。運よくその辺りを対処してくれる人間と巡り会えれば体裁を取り繕うことはできたとしても、それは所詮、運頼みでしかなく、具体的に問題に対処はできていないのである。

こうして、子供が好ましからざる価値観を身に付けていっても、それに対処できないことで、結果として問題を助長する。

今回の、ミハエルのストーカーとなった女性の祖父母がまさにそれであった。

自分の娘や孫が身勝手な考えを増長させていても具体的な対処をせずに、

『いつか分かってくれる』

という根拠のない希望的観測にただ縋り、解決を先延ばしにしてきた結果が、このストーカーということなのだろう。

たとえ悪人でなくても、悪意でなくとも、不作為によって問題を拗らせることもあるのだと、今回の事例は教えてくれていた。

また、祖父母は、子供の『言いなり』にはなっていても、子供の『話』には耳を傾けていなかった。

言いなりになって子供のご機嫌をとることで楽に結果を得ようとしていたのだ。

それに対し、『子供の話を聞く』ことは、時間も手間もかかる上に不毛な意味のない話を聞かされるだけであることも多く、一見すると無駄な行為のようにも思えるが、

『話を丁寧に聞いた上で、できないことはできないというのを伝える』

ことにより、子供としても、

『こんなにちゃんと話を聞いてくれてその上でできないのなら、仕方ない』

と自らを納得させることができるようになっていくのだろう。

『子供の言いなりになる』

というのは、一見しただけなら子供の言うことを聞いているように見えるかもしれないが、実は話など聞いておらず、

『こうやって言いなりになってあげてるんだからこっちの言うことも聞いてくれて当然』

などといった身勝手な振る舞いでしかないのだと思われる。
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