104 / 255
私の闇
しおりを挟む
沙奈子ちゃんと玲那と莉奈と私の四人でのおしゃべりはすごく楽しくて、あっという間に時間が過ぎていった。だから日が傾いて部屋の中が薄暗くなってきてようやく時間が経ってることに気が付いた。
「あ、もうこんな時間?。そろそろお暇しなきゃ」
ハッとなった玲那がそう言うと、おしゃべりの途中で莉奈を膝に抱いてた沙奈子ちゃんが、莉奈をぎゅっと抱きしめて寂しそうな顔をした。まるで縋りつくみたいな、助けを求めてるみたいな……。
さすがにそれを見てしまったら振り切って帰るってことはできなかった。そんなに急ぎの用事もないし、もう少しくらいなら。
「そっか、お別れするの寂しいんだね。じゃあもうちょっとだけお話してようか」
だけど、私がそう言ったのは、また別の理由もあった。今回、莉奈を連れてきた理由を話してなかったからだ。それをいつ切り出すか、タイミングを計りかねてるっていうのもあった。
だって、こんな大きな人形、押し付けられる方も迷惑かも知れないし。
そう、私は今日、莉奈を沙奈子ちゃんにお迎えしてもらおうと思って連れてきたのだった。志緒里がいる今、莉奈までちゃんとお世話できてなかったから。沙奈子ちゃんなら、私の分まで莉奈を大切にしてくれそうだったから。
でも、いざそれを口にしようとすると、言葉が出てこなかった。人形を沙奈子ちゃんと山下さんに押し付けることになるという以上に、莉奈と別れる決心がつかなかったというのもあると思う。
玲那が紅茶とか飲んだカップを片付けようとしたから「あ、私がするよ」と言ったら、
「いいよ、絵里奈は沙奈子ちゃんとお話ししててあげて」
って言って、立ち上がった。それは、『莉奈のこと、ちゃんとお話ししなよ』ってことだと思った。
山下さんも玲那と一緒に片付ける為に立ち上がって、すごく申し訳ない気持ちになった。でもだからこそちゃんと話を切り出さなきゃ。
カップを持って山下さんとキッチンに言った彼女が、
「山下さんも、気が付きましたか…?」
と彼に話しかけるのが分かった。そして続けて、
「絵里奈の様子、普通じゃありませんよね。まるで本当に生きてる人を相手に喋ってるみたいに、人形に話しかけるでしょう?」
って。そうだった。私は、沙奈子ちゃんや玲那にだけじゃなく、莉奈にも普通に話し掛けていたのだ。当たり前みたいに。
「あれが、絵里奈が抱えてる闇なんです」
玲那の言葉に、山下さんの表情が強張るのが分かった。
いつまでも本題を切り出せない私にきっかけを与えようとしてくれてるんだろうな。
「あ、もうこんな時間?。そろそろお暇しなきゃ」
ハッとなった玲那がそう言うと、おしゃべりの途中で莉奈を膝に抱いてた沙奈子ちゃんが、莉奈をぎゅっと抱きしめて寂しそうな顔をした。まるで縋りつくみたいな、助けを求めてるみたいな……。
さすがにそれを見てしまったら振り切って帰るってことはできなかった。そんなに急ぎの用事もないし、もう少しくらいなら。
「そっか、お別れするの寂しいんだね。じゃあもうちょっとだけお話してようか」
だけど、私がそう言ったのは、また別の理由もあった。今回、莉奈を連れてきた理由を話してなかったからだ。それをいつ切り出すか、タイミングを計りかねてるっていうのもあった。
だって、こんな大きな人形、押し付けられる方も迷惑かも知れないし。
そう、私は今日、莉奈を沙奈子ちゃんにお迎えしてもらおうと思って連れてきたのだった。志緒里がいる今、莉奈までちゃんとお世話できてなかったから。沙奈子ちゃんなら、私の分まで莉奈を大切にしてくれそうだったから。
でも、いざそれを口にしようとすると、言葉が出てこなかった。人形を沙奈子ちゃんと山下さんに押し付けることになるという以上に、莉奈と別れる決心がつかなかったというのもあると思う。
玲那が紅茶とか飲んだカップを片付けようとしたから「あ、私がするよ」と言ったら、
「いいよ、絵里奈は沙奈子ちゃんとお話ししててあげて」
って言って、立ち上がった。それは、『莉奈のこと、ちゃんとお話ししなよ』ってことだと思った。
山下さんも玲那と一緒に片付ける為に立ち上がって、すごく申し訳ない気持ちになった。でもだからこそちゃんと話を切り出さなきゃ。
カップを持って山下さんとキッチンに言った彼女が、
「山下さんも、気が付きましたか…?」
と彼に話しかけるのが分かった。そして続けて、
「絵里奈の様子、普通じゃありませんよね。まるで本当に生きてる人を相手に喋ってるみたいに、人形に話しかけるでしょう?」
って。そうだった。私は、沙奈子ちゃんや玲那にだけじゃなく、莉奈にも普通に話し掛けていたのだ。当たり前みたいに。
「あれが、絵里奈が抱えてる闇なんです」
玲那の言葉に、山下さんの表情が強張るのが分かった。
いつまでも本題を切り出せない私にきっかけを与えようとしてくれてるんだろうな。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元カノと復縁する方法
なとみ
恋愛
「別れよっか」
同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。
会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。
自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。
表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる