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その効果はまったくなかった

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他人を口汚く罵るとか、本当にまともな<躾>を受けてきた人ならやらないよね。

つまりそれは、他人を口汚く罵るような人はまともな<躾>なんて受けてきてないし、たとえ親が躾けようとしてたとしてもその効果はまったくなかったっていう証拠だよね。

私は、そういう事実があるから、<躾>なんてものの効果とか信じない。それに本当に効果があるのなら、

『躾が大事だ!』

と言う人がこれだけ多い中で、その躾が効果を発揮せず他人を罵る人が無数にいるはずがないじゃん、

他人の子供に対して、

『躾がなってない糞ガキ』

とか言っちゃう人間こそが、『躾がなってない』よ。

そして、そんなことを言っちゃう人間がものすごく多いという現実。

この事実に向き合っているからこそ、私は自分の子供達を『躾け』ようとは思わない。

『躾け』るんじゃなく、<手本>を示すことでそれを真似てもらおうとしてるだけなんだ。

『物を大事にしろ』

って言うんなら、自分が物を大事にする。子供が玩具おもちゃを片付けないからって、ゲームをやめないからって、それを捨てたり取り上げて壊したりしない。

だってそれって、『物を大事に』してないから。

親が物を大事にしてないのに子供に向かって口先だけで、

『物を大事にしろ』

なんて、こんな分かりやすい、

『お前が言うな』

案件がある?

子供に対して、

『ルールを守れ』

って言っておいて親がルールを守らないとか、それで何の説得力があると思えるの?

子供は親の振る舞いを見て、<人間としての在り方>を学ぶんだよ。躾けようとなんてしなくたって、親のやってることを真似していくんだ。

もちろん、最初は上手くできないよ。調子に乗ってふざけちゃうこともあると思う。

でもだからってそこでキレてたら、子供だって自分の思い通りにならない相手にはキレていいって思うんじゃないの?

パワハラ上司とかイジメとかクレーマーって、結局はそういうことじゃないの?

『自分の思い通りにならないことにキレる親の真似をしてる』

ってことじゃないの?

自分は思い通りにならない相手にキレておいて子供には口先だけで、

『他人には優しくしなさい』

とか言ってたら、私が子供の立場だったら、鼻で笑っちゃうね。

てか、実際に鼻で笑ってた。

自分は店員や部下に対して横柄な態度を取ってるクセに、私に対しては、

『他人には親切にしなさい』

だって。

それって何の冗談?

幸い、私は、出逢いに恵まれてそれじゃダメだって学べたけど、その出逢いがなかったら、たぶん、両親と同じことをしてたと思う。

正直、今でも、意識して自分に『それじゃダメだ』って言い聞かせてないと、つい同じことをしてしまいそうになるんだよね。

そういうことを、異世界に飛ばされた主人公が、現地で、行きがかり上、一緒に暮らすことになった幼子に、自分の両親が自分にしてくれたことを思い出しつつ接するって話。

いわゆる<ハートフルもの>って感じになるだろうけど、

『説教臭い!』

とか、

『何度も同じことばっか言っててウザい!』

とか、叩かれるだろうなあ。

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