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お前が言うな!案件

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私が<子育てモノ>を読んだり見たりしてて気になるのは、<親>や<親代わり>のキャラクターが子供を<躾け>ようとして怒鳴ったり殴ったりするシーンなんだよね。

人として大事なことを伝えたいんだっていう気持ちがあるんだろうなとは察するよ?

でもさ、致命的な矛盾がそこにはあるんだよ。

『自分より確実に<力>や<立場>的な意味で弱い相手を、恫喝や威力で捻じ伏せて操ろうとする行為そのものを、親が実践してる』

っていう致命的な矛盾がさ。

ましてや、子供が弱い者をイジメたりしてたことについて叱る時にそれをするっていうのは、典型的な、

『お前が言うな!』

案件なんだよね。

そこはフィクションだから大体上手くいくんだけど、これがもう完全な、

<ご都合主義>

なんだ。現実はそう単純じゃない。

だってそうでしょ? 現実では、親とかに散々殴られたりしてきたのが、反社会的な人間になってるっていう事例が、それこそ数限りなくあるはずだよね? でなけりゃ、コンビニに買い物に行ったその間だけでDQNに絡まれたりするほど、暴力的な人が溢れたりしないんじゃないの?

暴力的な人がみんな、それまで親から手を挙げられたこともない、<殴られる痛み>を知らない人だなんて、本気で思う?

むしろ、<殴られる痛み>を知ってるからこそ、怒鳴られたり凄まれたりすることの怖さを知ってるからこそ、それを使おうとするんだと思うけど?

私のすぐ身近な知り合いにもいるよ。そういうの。自分が子供の頃に怒鳴られて凄まれて殴られて屈服させられてきたから、それが他人を痛めつけるのにどれほど効果的かを身をもって知ってるってのがさ。

今はもう、そんなことしてたら自分の大切な人を悲しませるってことを知ったから、やらなくなったけどね。

逆に私の兄は、確かに親からは怒鳴られたことも殴られたことも(私の知る限りは)なくて、それで『他人の痛みとか分からないんだろうなあ』ってタイプになったみたいだけど、そんなのはきっと少数派だろうって気がする。

しかも私の両親は、兄のことは怒鳴ったり殴ったりは確かにしてなかったと思うけど、子供を連れてファミレスとか行った時に、店員(自分より立場が下の相手)に対して横柄な態度を取ったり、それこそちょっとしたことで怒鳴って頭を下げさせるってのを、子供の前でやって見せてたんだよ。

怒鳴ったり殴ったりして誰かを従えることを親が是認してどうすんのさ?

ってことを知ってたら、フィクションの中でそういう<躾>が行われてても、それを真に受けたりはしないんだろうなあ。

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