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出逢い
準備万端、整う
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こうしてラーメンを食べ、風呂を堪能し、すっかり見違えるほどに清潔感が増した裸のままの斬竜を見て、錬義は、
「綺麗だよ……」
柔らかく微笑みながらそう口にした。
「……?」
斬竜としては錬義が口にした言葉の意味は分かっていないようだったが、彼が放つ気配は嫌じゃなかったようだ。もっとも、自分の髪の毛がやけにサラサラになったことの方がむしろ気になっているようだが。
さらに錬義は、斬竜に服を着せていく。ホットパンツとタンクトップだった。いかにも体を動かしやすそうな格好だ。そして錬義自身は、いつもの作業着的な服を着る。二人が風呂に入っている間にミネルバが洗濯してくれたものだ。
そうして準備万端整えて……と思ったが、
「ぐう…!」
斬竜の腹が抗議でもするかのように音を立てた。カップラーメン二つでは足りなかったか。
「あはは♡ じゃあ、もうちょっと食べようか」
錬義は笑いながら食糧庫からハムを取り出し、分厚く切って斬竜に渡した。彼女もそれをガツガツと貪っていく。
「でも、ま、あんまり食べ過ぎると動きが鈍くなるから、このくらいでね」
直径十センチ。長さ三十センチはありそうなハムの半分を食べたところで、そう言う。
「……」
残りを冷蔵庫に仕舞われて斬竜は少し不満そうだったものの、
「大丈夫。また後で食べられるから」
そう言って彼女の頭を撫でた。
それから今度こそ斬竜を伴ってコテージの外に出る。錬義の耳にはインカム。すると、
「準備はできたか?」
アンデルセンの声。
「ああ、万端だ」
応えた錬義に、アンデルセンは続ける。
「結構。では、強攻試験を始める。エレクシアはすでに到着している。索敵も含めての試験だ。気を抜くなよ」
「ああ。分かってる」
言いつつ、錬義の体には緊張感がみなぎっていた。そしてそんな彼の気配を察したのか、斬竜も張り詰めた雰囲気をまとっていた。錬義の緊張感だけでなく、他の何かも感じ取っているのかもしれない。事実、その場には不思議な空気感がすでにあった。
そうだ。鳥の声がしない。勝手にこの辺りに住み着いている野鳥の声が普段は絶え間なく聞こえているのに、今はそれがないのだ。まるで、何かを恐れて飛び去ったか、息を潜めて隠れているかのように。
「いる……な。すぐ近くにいる……なのにどこにいるのかが分からない。さすがはエレクシア様……」
錬義の頬を冷や汗が伝う。野生の鵺竜や亜竜や獣達を相手にしてきた彼にさえ、位置を掴ませない。だから、
「……」
斬竜も身構え、油断なく周囲を窺っていたのだった。
「綺麗だよ……」
柔らかく微笑みながらそう口にした。
「……?」
斬竜としては錬義が口にした言葉の意味は分かっていないようだったが、彼が放つ気配は嫌じゃなかったようだ。もっとも、自分の髪の毛がやけにサラサラになったことの方がむしろ気になっているようだが。
さらに錬義は、斬竜に服を着せていく。ホットパンツとタンクトップだった。いかにも体を動かしやすそうな格好だ。そして錬義自身は、いつもの作業着的な服を着る。二人が風呂に入っている間にミネルバが洗濯してくれたものだ。
そうして準備万端整えて……と思ったが、
「ぐう…!」
斬竜の腹が抗議でもするかのように音を立てた。カップラーメン二つでは足りなかったか。
「あはは♡ じゃあ、もうちょっと食べようか」
錬義は笑いながら食糧庫からハムを取り出し、分厚く切って斬竜に渡した。彼女もそれをガツガツと貪っていく。
「でも、ま、あんまり食べ過ぎると動きが鈍くなるから、このくらいでね」
直径十センチ。長さ三十センチはありそうなハムの半分を食べたところで、そう言う。
「……」
残りを冷蔵庫に仕舞われて斬竜は少し不満そうだったものの、
「大丈夫。また後で食べられるから」
そう言って彼女の頭を撫でた。
それから今度こそ斬竜を伴ってコテージの外に出る。錬義の耳にはインカム。すると、
「準備はできたか?」
アンデルセンの声。
「ああ、万端だ」
応えた錬義に、アンデルセンは続ける。
「結構。では、強攻試験を始める。エレクシアはすでに到着している。索敵も含めての試験だ。気を抜くなよ」
「ああ。分かってる」
言いつつ、錬義の体には緊張感がみなぎっていた。そしてそんな彼の気配を察したのか、斬竜も張り詰めた雰囲気をまとっていた。錬義の緊張感だけでなく、他の何かも感じ取っているのかもしれない。事実、その場には不思議な空気感がすでにあった。
そうだ。鳥の声がしない。勝手にこの辺りに住み着いている野鳥の声が普段は絶え間なく聞こえているのに、今はそれがないのだ。まるで、何かを恐れて飛び去ったか、息を潜めて隠れているかのように。
「いる……な。すぐ近くにいる……なのにどこにいるのかが分からない。さすがはエレクシア様……」
錬義の頬を冷や汗が伝う。野生の鵺竜や亜竜や獣達を相手にしてきた彼にさえ、位置を掴ませない。だから、
「……」
斬竜も身構え、油断なく周囲を窺っていたのだった。
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