10 / 96
出逢い
朋群人、メンタリティも野生寄り
しおりを挟む
ミネルバの本体重量は約八十キロ。そこに約二十キロの各種装備を搭載していることで、百キロ以上の総重量になっていた。なのに錬義は、そんなミネルバを抱え、そっと岩の上に下ろしてみせた。
とんでもない膂力である。
もっとも、だからこそ、ミネルバ以外には自分の体一つで新天地ハンターをしつつ鵺竜の調査などしていられるのだろうが。
鵺竜の生息地にただの人間が降り立てば、本来は単なる<餌>にしかならないのだから。
こうして、高さ七メートルほどの重なった岩の上に陣取った錬義は、ミネルバの翼の中に設けられたトランクを開けてそこから、固形燃料コンロ、マッチ、コッヘル、水筒、布に包まれた保存食、寝袋らしきものを取り出し広げ、早速、水筒の水をコッヘルに注ぎ、湯を沸かしだした。
岩の下では、ストルティオ竜が、
「ギョアッ!!」
「ギェハアッ!!」
などと声を上げて騒いでいたが、錬義はまるで意に介することなく、沸いた湯に布から掴み出した<保存食>を放り込んだ。
それは、まぎれもなく<乾麺タイプのインスタントラーメン>だった。それも、スープが絡んだ麺と具が一緒にフライされて、沸かした湯にそのまま放り込むだけで<具入りのラーメン>になるものだった。
これによりインスタントラーメンを用意し、上着の二の腕の部分に設けられた細長いポケットから取り出した箸で、
「ゾゾッ!」
と一気にすすった。出来立てでアツアツのそれをものともせず。
しかし、
「物足りないな……」
一食分のラーメンを、汁まで残さず食い切ったもののそう呟いて、
「ブルンッ!」
ミネルバがまるで声でも掛けるようにプロペラを回したのも無視して、岩の上からひらりと空中に身を躍らせた。そして岩を蹴って五頭のストルティオ竜の真ん中に降り立ち、
「ギュアッ!?」
と声を上げたストルティオ竜が牙を剥き出して襲い掛かったのをするりと躱しつつ彼らの巣に入り込んで卵を一つ掴み上げ、
「ごめんね、一個いただくよ」
笑顔で詫びながらやはり攻撃をするすると躱して岩の上に跳び上がり、自分の頭より大きな卵を抱えたまま片手の指を岩のわずかな凹凸に引っ掛けて体を持ち上げ、忍者のように頂上まで戻ってしまった。
その姿はやはり、人間の言葉を話し人間の姿はしていても、完全に野生動物のそれであると言えるだろう。
これが、<朋群人>である。人間の知能と野生の獣の身体能力を併せ持った。
加えてメンタリティも野生寄りなので、生きるために他の命を食すことにためらいはない。
とんでもない膂力である。
もっとも、だからこそ、ミネルバ以外には自分の体一つで新天地ハンターをしつつ鵺竜の調査などしていられるのだろうが。
鵺竜の生息地にただの人間が降り立てば、本来は単なる<餌>にしかならないのだから。
こうして、高さ七メートルほどの重なった岩の上に陣取った錬義は、ミネルバの翼の中に設けられたトランクを開けてそこから、固形燃料コンロ、マッチ、コッヘル、水筒、布に包まれた保存食、寝袋らしきものを取り出し広げ、早速、水筒の水をコッヘルに注ぎ、湯を沸かしだした。
岩の下では、ストルティオ竜が、
「ギョアッ!!」
「ギェハアッ!!」
などと声を上げて騒いでいたが、錬義はまるで意に介することなく、沸いた湯に布から掴み出した<保存食>を放り込んだ。
それは、まぎれもなく<乾麺タイプのインスタントラーメン>だった。それも、スープが絡んだ麺と具が一緒にフライされて、沸かした湯にそのまま放り込むだけで<具入りのラーメン>になるものだった。
これによりインスタントラーメンを用意し、上着の二の腕の部分に設けられた細長いポケットから取り出した箸で、
「ゾゾッ!」
と一気にすすった。出来立てでアツアツのそれをものともせず。
しかし、
「物足りないな……」
一食分のラーメンを、汁まで残さず食い切ったもののそう呟いて、
「ブルンッ!」
ミネルバがまるで声でも掛けるようにプロペラを回したのも無視して、岩の上からひらりと空中に身を躍らせた。そして岩を蹴って五頭のストルティオ竜の真ん中に降り立ち、
「ギュアッ!?」
と声を上げたストルティオ竜が牙を剥き出して襲い掛かったのをするりと躱しつつ彼らの巣に入り込んで卵を一つ掴み上げ、
「ごめんね、一個いただくよ」
笑顔で詫びながらやはり攻撃をするすると躱して岩の上に跳び上がり、自分の頭より大きな卵を抱えたまま片手の指を岩のわずかな凹凸に引っ掛けて体を持ち上げ、忍者のように頂上まで戻ってしまった。
その姿はやはり、人間の言葉を話し人間の姿はしていても、完全に野生動物のそれであると言えるだろう。
これが、<朋群人>である。人間の知能と野生の獣の身体能力を併せ持った。
加えてメンタリティも野生寄りなので、生きるために他の命を食すことにためらいはない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
スペースシエルさんReboot 〜宇宙生物に寄生されましたぁ!〜
柚亜紫翼
SF
真っ暗な宇宙を一人で旅するシエルさんはお父さんの遺してくれた小型宇宙船に乗ってハンターというお仕事をして暮らしています。
ステーションに住んでいるお友達のリンちゃんとの遠距離通話を楽しみにしている長命種の145歳、趣味は読書、夢は自然豊かな惑星で市民権とお家を手に入れのんびり暮らす事!。
「宇宙船にずっと引きこもっていたいけど、僕の船はボロボロ、修理代や食費、お薬代・・・生きる為にはお金が要るの、だから・・・嫌だけど、怖いけど、人と関わってお仕事をして・・・今日もお金を稼がなきゃ・・・」
これは「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に投稿している「〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜」の元になったお話のリメイクです、なので内容や登場人物が「リーゼロッテさん」とよく似ています。
時々鬱展開やスプラッタな要素が混ざりますが、シエルさんが優雅な引きこもり生活を夢見てのんびりまったり宇宙を旅するお話です。
遥か昔に書いたオリジナルを元にリメイクし、新しい要素を混ぜて最初から書き直していますので宇宙版の「リーゼロッテさん」として楽しんでもらえたら嬉しいです。
〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜
https://www.alphapolis.co.jp/novel/652357507/282796475
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる