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第三幕
結局、『相手を敬う』ってのはさ、『相手を自分とは別の一人の人間として認める』ってことだと思うんだよ。自分とは違う価値観を価値観を持ってたり
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『結局、『相手を敬う』ってのはさ、『相手を自分とは別の一人の人間として認める』ってことだと思うんだよ。
自分とは違う価値観を持ってたりして、自分とは違う心理状態だったりして、っていうことも含めてね。
だとしたら、その人の<気持ち>は蔑ろにしちゃいけないよね。
自分から見てどんなに身勝手に思えても、理不尽に思えても、相手が『辛い』『苦しい』『悲しい』っていう気持ちになってるのなら、まずそれを認めなきゃ、到底、『敬ってる』ことにはならないと思う。
それを認めもせずにただ一方的に正論を並べても、そんなのは単なる、<押し付け>だよね。
で、一方的な押し付けを素直に聞いてくれる人は、本当に、本当に、滅諦にいない。だから『そんな人はいない』っていう前提で話をするのがコツなんじゃないかな。
私が、悠里や安和や椿のことを一方的に怒鳴ったり叩いたりしないって言うと、『子供が大きくなったらつけあげる!』とか、『たまたま子供がいい子だからそれで済んでるだけだろ』とか言ってくる人もいると思うけど、普通に考えてさ、<自分の話にちゃんと耳を傾けてくれて理不尽なことをしてこない相手>に、何か反発する必要ある? それでつけあがるような人って、過去に何かあったってことじゃないの?
要は、『相手が隙を見せたらどんどんつけこんでやれ!』みたいな姿勢を誰かから学んだんじゃないの? 強い相手には媚び諂って、自分より弱い相手に対してはいくらでも理不尽なことをしていいっていう。
幸い、悠里や安和や椿の周囲には、そんな大人はいない。私の両親は、私がみんなを生んだことさえ知らないし。完全に絶縁状態で、こっちの本当の住所もまったく知らない。
一応、私名義の会社の事務所として隣の県の郊外に、土地込み四百万の家を買って、表向き、そこに住んでることにしてるけどさ。
弁護士にそこを管理してもらってるんだよ。そこに届く郵便物とかも回収してくれてる。掃除やメンテナンスは業者に頼んでるし。
正直、あの人達から身を守るためにはここまでやらなきゃいけないんだよね。自分の親相手にここまでしなきゃいけないとか本当に情けないよ。そんな人達が自分の親とか兄だとか。
でも、ここまでやってるからこそ、あの人達からの干渉を排除できてるってのはあると思う。
私の代理人でもある弁護士のところには、いくつもの裁判を維持するためのお金を無心する連絡が入る。
もちろん全部断ってもらってるけど、「薄情者!!」とか、「育ててやった恩も忘れて、人間の屑が!!」とか吐き捨てるらしい。
まあ、確かにあの人達については、こっちが甘い顔をしたら全力でつけこんでくるだろうなとは、思うかな』
確かに、アオの両親については、僕も気配を消した状態で見に行ったことがある。すると、アオが実はかなり控えめに言ってるということも分かってしまった。
以前はそれでも体裁を守ろうとしていたのかもしれないけれど、パワハラ等について訴えられてからは取り繕うことも億劫になったのか、周囲のへの攻撃性を隠さなくなったようなんだ。
アオの両親のその姿は、僕にとっても悲しいものだったよ。
自分とは違う価値観を持ってたりして、自分とは違う心理状態だったりして、っていうことも含めてね。
だとしたら、その人の<気持ち>は蔑ろにしちゃいけないよね。
自分から見てどんなに身勝手に思えても、理不尽に思えても、相手が『辛い』『苦しい』『悲しい』っていう気持ちになってるのなら、まずそれを認めなきゃ、到底、『敬ってる』ことにはならないと思う。
それを認めもせずにただ一方的に正論を並べても、そんなのは単なる、<押し付け>だよね。
で、一方的な押し付けを素直に聞いてくれる人は、本当に、本当に、滅諦にいない。だから『そんな人はいない』っていう前提で話をするのがコツなんじゃないかな。
私が、悠里や安和や椿のことを一方的に怒鳴ったり叩いたりしないって言うと、『子供が大きくなったらつけあげる!』とか、『たまたま子供がいい子だからそれで済んでるだけだろ』とか言ってくる人もいると思うけど、普通に考えてさ、<自分の話にちゃんと耳を傾けてくれて理不尽なことをしてこない相手>に、何か反発する必要ある? それでつけあがるような人って、過去に何かあったってことじゃないの?
要は、『相手が隙を見せたらどんどんつけこんでやれ!』みたいな姿勢を誰かから学んだんじゃないの? 強い相手には媚び諂って、自分より弱い相手に対してはいくらでも理不尽なことをしていいっていう。
幸い、悠里や安和や椿の周囲には、そんな大人はいない。私の両親は、私がみんなを生んだことさえ知らないし。完全に絶縁状態で、こっちの本当の住所もまったく知らない。
一応、私名義の会社の事務所として隣の県の郊外に、土地込み四百万の家を買って、表向き、そこに住んでることにしてるけどさ。
弁護士にそこを管理してもらってるんだよ。そこに届く郵便物とかも回収してくれてる。掃除やメンテナンスは業者に頼んでるし。
正直、あの人達から身を守るためにはここまでやらなきゃいけないんだよね。自分の親相手にここまでしなきゃいけないとか本当に情けないよ。そんな人達が自分の親とか兄だとか。
でも、ここまでやってるからこそ、あの人達からの干渉を排除できてるってのはあると思う。
私の代理人でもある弁護士のところには、いくつもの裁判を維持するためのお金を無心する連絡が入る。
もちろん全部断ってもらってるけど、「薄情者!!」とか、「育ててやった恩も忘れて、人間の屑が!!」とか吐き捨てるらしい。
まあ、確かにあの人達については、こっちが甘い顔をしたら全力でつけこんでくるだろうなとは、思うかな』
確かに、アオの両親については、僕も気配を消した状態で見に行ったことがある。すると、アオが実はかなり控えめに言ってるということも分かってしまった。
以前はそれでも体裁を守ろうとしていたのかもしれないけれど、パワハラ等について訴えられてからは取り繕うことも億劫になったのか、周囲のへの攻撃性を隠さなくなったようなんだ。
アオの両親のその姿は、僕にとっても悲しいものだったよ。
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