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第三幕

一時間ごとに『おっぱい~!』『おしっこ出た~!』『ウンチ出た~!』で騒いで寝かせてくれない赤ん坊に<可愛げ>なんてもんがあるとか思ってるなら

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『もし、悠里ユーリ安和アンナ椿つばきが、『可愛いのは可愛げのある子供だけ』なんてことを言ってたら、これまた一時間はお説教だよ。

<可愛げのある子供>とか、フィクションのご都合主義の塊でできたキャラか!? 寝言は寝て言え!!

って話だよ。

そんなことを本気で言ってる人がいるんなら、それこそフィクションの中でしか幸せを見付けられない人だと思うね。

あと、可愛げのなくなったペットは捨てていいと思ってるタイプか。

一時間ごとに『おっぱい~!』『おしっこ出た~!』『ウンチ出た~!』で騒いで寝かせてくれない赤ん坊に<可愛げ>なんてもんがあるとか思ってるなら、それは自分でやってないからだよね。傍から見てるだけで無責任に『可愛い~♡』とか思ってられるだけだからそんなことが言える。

可愛げの有る無しで子供の価値を語るような親がいるなら、私は人の親として心底情けない。子供をペットと同じようにしか見てないとしか思わない。

はっきり言おう、『可愛いのは可愛げのある子供だけ』とか言うような子供は、可愛げの欠片もないクソ生意気なクソガキだ!! ってね。

だけどね、もし、悠里や安和や椿がそんな<クソ生意気なクソガキムーブ>してたって、親子の縁は切れないんだよ。

だって、『自分が勝手にこの世に送り出した』っていう事実は消えてなくならないんだから。

ま、私自身は、悠里や安和や椿についてはそんな心配は一ミリもしてないけどさ。

実際、悠里も安和も椿もそんなこと思ってないのが分かるし。

ただ、私の両親が、モロ、『可愛いのは可愛げのある子供だけ』って考えてる人間だったな。

その両親が何をやったかを見れば、そんな考えがいかにヤバいかよ~く分かるよ。

そして、そんな両親に育てられた兄や私がどういう人間になったか考えりゃね。

幸い私は、『可愛いのは可愛げのある子供だけ』とか考えるのがいかに道理に合わないか、それがどれほど甘ったれな寝言なのかを知ることができたから両親と同じ失敗をせずに済んだんだよね

なんて、親に対して厳しいことを言うと、二言目には、『親だって人間だから』とか言うのがいるけど、『は? 何言ってんの? それを言うなら子供だって人間ですけど?』としか思わない。『人間だから』で、『可愛いのは可愛げのある子供だけと思ってしまうのは仕方ない』ってのが正当化されるってんなら、なんで子供が甘えるのは許さないの? それが正当化されるなら、『尊敬に値しない親なんて尊敬できなくても仕方ない』ってのも認めなきゃおかしいでしょ』

アオは何度もそうやって<親>に対して厳しいことを口にする。けれどそれは、アオ自身がその<親>だからなんだ。自分自身に対しての言葉なんだ。

それが悠里達にもちゃんと伝わってるのを、僕は確かめているんだ。

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