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第三幕

『この程度で死ぬような弱い奴が悪い』とか、『叩かれる原因を作った奴が悪い』とか、それ、完全に<他人の所為>にしてるよね?

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『結局さ、『この程度で死ぬような弱い奴が悪い』とか、『叩かれる原因を作った奴が悪い』とか、それ、完全に<他人の所為>にしてるよね? 自分が礼儀礼節に反した行いをしてるのを正当化するために、他人の所為にさ。

ちゃんと言葉を選ばない自分の<甘え>を、他人の所為にしてるよね?

自分のやってることが<まっとうな批判>だってんなら、ちゃんと言葉を選ばなきゃおかしいじゃん。

そして、自分の行為が他の誰かから批判を受けたら、それは自分が招いたことなんだよ。『叩かれる原因を作った奴が悪い』とか、他人の所為にしちゃおかしいでしょ? 仮にも『叩かれる原因を作った奴が悪い』って言うんなら、自分が批判されてもその原因を作ったのは自分だって認めなきゃおかしいじゃん。

私は<読者の声>なんてそもそも聞かないから何言われても平気だけど、だからって他の創作者さんに、『私と同じことができて当然だ!』とは言わないよ。むしろ私がそれをできるのは、私自身がサイコパスもしくはソシオバス気質の人間だからってのもあると思う。まっとうな感性を持ってる人なら、少なからずショックを受けるのがむしろ当然じゃないの?

他人から罵られても、罵られてるのが分かってても平気でいられる方が普通じゃないんだよ。

でもね、『自分が平気だからって他人も同じって考えるのはヤバい』ってことくらいは私だって分かるよ。それって、親から殴る蹴るの虐待を受けてきた人が痛みに慣れてしまって、『この程度なら殴っても別に痛くないだろ』みたいに考えて平気で他人を殴れるようになるようなことを招きかねない話だし。

さらに、『他人を死ぬまで追い詰める』ってのもそうだよ。『この程度で死ぬとは思わなかった』とかいう言い訳は、『自分ならこの程度では死んだりしない』というのを他人に当てはめて考えてたってことでしょ? それがそもそも間違ってるって話じゃん。

そしてさ、悠里ユーリにも安和アンナにも椿つばきにもわきまえておいてほしいんだけど、『他人の気持ちが分かる』なんてのは嘘だよ。大嘘だよ。他人の気持ちが分かる人間は、誰かを死ぬまで追い詰めたりしない。<死を選ぶほどの苦しみ>がどれほどのものか分かるだろうからね。

本当は他人の気持ちなんか分かってないからそれができるんじゃん。

臆面もなく、『気持ちが分かる』みたいに言っちゃう人なんて私は一ミリも信用できない。

でも、他人の気持ちが分からないから、理解できないから、だからこそ、『自分はこのくらい平気だけど、相手は違うかもしれない』と考えるんでしょ?

<気遣い>ってそういうもんじゃないの?

他人を平然と罵れる人は、自分の親からそれを教わってこなかったの?って話だよ』

アオの言うとおり、人間は、『他人の所為にするな』『社会の所為にするな』『世の中の所為にするな』と口にしながら、『叩かれる原因を作った方が悪い』と、『他人の所為にする』という悪癖がある。

彼女は、悠里達に、自らがその悪癖に囚われないように諭してくれてるんだ。

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