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日常編

これが楽しいってことなんだね

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「どひ~、びっしょびしょ…」

何だか夢中になってるうちに水の掛け合いになって、三人はずぶ濡れになっていた。

でも、楽しかった。濡れネズミのようになったお互いの姿を見て、

「うふふふ♡」

「あははは♡」

と、笑いが込み上げてきてしまった。

『楽しい。すごく楽しい。何故かは分からないけど楽しくて仕方ない……♡』

川縁に座り込んで一通り笑い転げた後、ユウカとガゼとメジェレナは顔を見合わせて相貌を崩していた。

「そっか、これが楽しいってことなんだね」

ユウカはそう言って空を見上げた。どこまでも突き抜けるように青い空を見上げてると、上下の感覚がなくなって、まるで空に落ちていきそうな気さえした。

「気持ちいい……」

暖かい日差しのおかげで、びしょ濡れでも寒くはなかった。むしろ心地よささえあった。そして三人は再び顔を合わせて、くすくすと笑ってたのだった。



ところでこの時、ヌラッカとレルゼーがどうしていたかと言うと……

「美味しい……」

ヌラッカは川で泳いでる魚を捕えてそのまま食べていた。しかも昔を思い出して、本来の不定形生物の姿に戻って。口だけは人間のそれを残して呟きつつ。

一方レルゼーはと言えば、こちらは魚を捕えて自身の炎でこんがりと焼いたりしていた。

それを見ていたマニは、

「鱗と内臓は取った方がいいんだけどね」

とあくまで冷静に声を掛けていた。するとレルゼーは川に向かって手を差し出し、まるで自ら飛び出してくるかのように彼女の手に収まった魚の鱗を落とし腹を裂いて内臓を取り出した。しかも取り出した内臓を、素麺でもすするかの如く食べてしまった。邪神であるレルゼーにとっては、内臓さえ今の体を維持する為のただの栄養源にしか過ぎなかったのだ。

残った部分は炎でやはりこんがりと焼く。そしてとても上手そうな焼き魚にしてしまったのだった。

そこに、びしょ濡れになったユウカとガゼとメジェレナが戻ってきた。

「あらあら、びしょ濡れね」

三人を見たマニがそう声を上げると、

「任せろ……」

とレルゼーが呟き、彼女の体からはっきりと分かるほどの熱線が発せられた。強力なパネルヒーターのようですらある。それを浴びた三人の服は見る間に乾いていく。

「お~、さすが…!」

ガゼが感心したように声を漏らした。

「ありがとう、レルゼーさん」

ユウカに感謝の言葉をもらい、レルゼーは、表情は変わらない筈なのだが何故か喜んでいるのが分かった。

「魚、焼いた……食べるか? ユウカ……」

レルゼーが手にしていた魚を受け取り、ユウカは驚きながらも笑顔で応えたのだった。

「ありがとう。いただきます」

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