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日常編
新しい生活の始まり
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こうしてガゼは、ユウカの部屋に転がり込むようにして一緒に暮らし始めた。
「んっふっふ~!」
嬉しくてたまらないという、ニヤニヤが止まらなそうな満面の笑顔でガゼが自分の荷物をユウカの部屋に運び込んできた。それをメジェレナも手伝ってくれていた。
「ユウカに迷惑かけたらダメだよ。私が許さない」
そうやって釘を刺すメジェレナに対しても、
「へっへ~ん。できるもんならやってみな~」
と余裕の態度だった。今は嬉しくて浮かれてるだけなのかもしれない。いずれメジェレナがどうこうしなくても思い知る時期が来るのかもしれない。だけど今はこの幸せを噛み締めていたかった。
「羨ましい……」
突然、そんな風に声を掛けられて、ガゼが、
「うわっ!!?」
っと声を上げた。驚いて振り返ると、そこには黒ずくめで長身の、赤い目でガゼをじっと見詰める人影があった。
「な、なによびっくりさせないでよ!」
レルゼーだった。レルゼーがまた、空間を超越して何の前触れもなく姿を現したのだ。さすがは邪神ということか。思えば彼女もユウカのことが好きだった。しかしコミュ障が災いしてガゼに先を越されてしまったということだ。
「…あなたに呪いと災いあれ……」
ぼそりと呟くようにレルゼーがそんなことを口にする。
「怖っ! あんたがそんなこと言うとシャレになんねーから!!」
そりゃそうだ。なにしろ正真正銘、本物の邪神様の言葉である。冗談だとしてもそうは聞こえない。
と言っても、ここでは呪いは決して結実することはないのだが。ここが<書庫>である限り。レルゼーもその程度は承知している。まあ、邪神ジョークということなのだろう。
なんだかんだ言ってもその後はレルゼーも荷物を運ぶのを手伝ってくれた。邪神に荷物運びをさせるなど、<書庫>ならではかもしれない。
一時間ほどで荷物の運び込みは終了した。元々、自分の服とかアニメ関係のグッズやソフトだけなのでそんなに大荷物でもない。家電や家具などは、リサイクルショップに引き取ってもらうことになる。
こうして、ユウカとガゼの新しい生活が始まることとなった。
「ユウカ~、ガゼちゃ~ん! 引っ越し祝いよ~」
そう言いながら鍋を持ってきたのはマニだった。
「僕を差し置いてユウカに取り入るとは、君もなかなか油断ならないねえ」
などとポーズを決めながら現れたのはキリオだ。
『こいつもどこまで本気か冗談か分っかんねーな…!』
そんなことを思いつつも、もう、あまりとやかく言う気にはなれなかった。自分も大して違わないのだから。
「…おめでとう……」
キリオの後ろからヌラッカがそう祝いの言葉を掛けてくれた。
そこにさらにレンやクォ=ヨ=ムイまでが現れ、そのままマニの鍋をつつきながらの歓迎パーティーが始まったのであった。
「んっふっふ~!」
嬉しくてたまらないという、ニヤニヤが止まらなそうな満面の笑顔でガゼが自分の荷物をユウカの部屋に運び込んできた。それをメジェレナも手伝ってくれていた。
「ユウカに迷惑かけたらダメだよ。私が許さない」
そうやって釘を刺すメジェレナに対しても、
「へっへ~ん。できるもんならやってみな~」
と余裕の態度だった。今は嬉しくて浮かれてるだけなのかもしれない。いずれメジェレナがどうこうしなくても思い知る時期が来るのかもしれない。だけど今はこの幸せを噛み締めていたかった。
「羨ましい……」
突然、そんな風に声を掛けられて、ガゼが、
「うわっ!!?」
っと声を上げた。驚いて振り返ると、そこには黒ずくめで長身の、赤い目でガゼをじっと見詰める人影があった。
「な、なによびっくりさせないでよ!」
レルゼーだった。レルゼーがまた、空間を超越して何の前触れもなく姿を現したのだ。さすがは邪神ということか。思えば彼女もユウカのことが好きだった。しかしコミュ障が災いしてガゼに先を越されてしまったということだ。
「…あなたに呪いと災いあれ……」
ぼそりと呟くようにレルゼーがそんなことを口にする。
「怖っ! あんたがそんなこと言うとシャレになんねーから!!」
そりゃそうだ。なにしろ正真正銘、本物の邪神様の言葉である。冗談だとしてもそうは聞こえない。
と言っても、ここでは呪いは決して結実することはないのだが。ここが<書庫>である限り。レルゼーもその程度は承知している。まあ、邪神ジョークということなのだろう。
なんだかんだ言ってもその後はレルゼーも荷物を運ぶのを手伝ってくれた。邪神に荷物運びをさせるなど、<書庫>ならではかもしれない。
一時間ほどで荷物の運び込みは終了した。元々、自分の服とかアニメ関係のグッズやソフトだけなのでそんなに大荷物でもない。家電や家具などは、リサイクルショップに引き取ってもらうことになる。
こうして、ユウカとガゼの新しい生活が始まることとなった。
「ユウカ~、ガゼちゃ~ん! 引っ越し祝いよ~」
そう言いながら鍋を持ってきたのはマニだった。
「僕を差し置いてユウカに取り入るとは、君もなかなか油断ならないねえ」
などとポーズを決めながら現れたのはキリオだ。
『こいつもどこまで本気か冗談か分っかんねーな…!』
そんなことを思いつつも、もう、あまりとやかく言う気にはなれなかった。自分も大して違わないのだから。
「…おめでとう……」
キリオの後ろからヌラッカがそう祝いの言葉を掛けてくれた。
そこにさらにレンやクォ=ヨ=ムイまでが現れ、そのままマニの鍋をつつきながらの歓迎パーティーが始まったのであった。
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