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転生編

ハンドサインに気を付けて

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「すごい…!?」

信じられない光景に、ユウカはただ呟いていた。そこにアーシェスが解説を加える。

「私はエルダーだから、<書庫>システムの一部にアクセスする権限があって、部屋の内装を変更できたりするんだけど、クォ=ヨ=ムイは、彼女自身の力で書き換えができるの。もっとも、エミュレートされるのは、あくまで創造的な力だけなんだけどね。破壊のための力は再現されないの。ただの手品とかショーみたいになるのよ。当然よね。ここは、宇宙のあらゆる情報を蓄積するデータベースなんだから、その情報自身が情報を破壊したら困るもの」

アーシェスの解説は分かりやすかった。

『あ、そっか、つまりどんなに破壊行為したって現実にはならないってことか……』

と、ユウカもすぐに察することができた。言い換えれば、ここには死も破壊も存在しないということである。

「だからここでは邪神も破壊神も形無しってわけ」

キリオがそう付け足す。メジェレナやシェルミもその言葉に頷いた。当のクォ=ヨ=ムイは肩をすくめて、

「そういうこと…」

と呟くように言った。

「でも、ケンカとかの暴力によるダメージは再現されるから気を付けて。死ぬことはないし形質を失うほどの破壊はされないけど、痛みや苦しみはちゃんとあるから。怪我とか病気が治るまでの苦痛とかも再現されるからね。無茶はダメよ」

アーシェスが念の為にとそう釘をさす。とは言え、

『いえいえそんなことしません~…!』

ユウカにはそんな無茶をする気は全く無かった。元よりそういうことは最も苦手なのだから。

「あ、そうそう忘れてたけど、この子はイシワキユウカ。ユウカって呼んであげて」

ユウカ自身もあまりのことに忘れてたが、代わりにアーシェスが紹介してくれて、慌てて、

「よろしくお願いします」

と頭を下げた。クォ=ヨ=ムイはそれを見て「ん…」と小さく頷いた。その仕草がまた艶っぽい。

『なんか分かんないけど恥ずかしい…!』

ユウカは思わず自分の顔が熱くなるのを感じてた。するとキリオが、

「うん、いいね、素質ありだね」

と言いながら人差し指と中指を交差させた。その瞬間、今度はヌラッカが、「キリオ!」と強い口調で声を上げる。

『え? なに? なんですか……?』

意味が分からず戸惑うユウカに、アーシェスが耳打ちして解説してくれた。

「今のキリオの指の形、あれ、彼女たちの種族のハンドサインで、体の交わりを意味してるの。『私としましょう』って感じかな。かなり本気で狙うつもりみたいだから気を付けてね。絶対に二人きりにはならないように」

『わ、私としましょう…!? ええ~~~~~っ!?』

そういうことには全く縁がなかったが、知識だけならそれなりにあるだけに、ユウカは耳まで真っ赤にして、俯いてしまったのだった。

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