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転生編
トイレは共同。でも設備は最新
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「とにかく、この子はイシワキユウカ。ユウカって呼んであげて。無理に仲良くしろとは言わないけど、あなたが何故、ここに居ることを許されるのか、それは忘れないでほしいの」
感情的になった幼子を諭すように、アーシェスはヘルミに語り掛けた。ユウカのことは正直、二の次になってたと思われる。
「…ふん」
と不満げに鼻を鳴らしてドアを閉ざしてしまった彼女をそれでも見つめようとするかのように、アーシェスは閉ざされたドアを見つめていた。しばらくして石脇佑香の方に向き直り、ふわっと笑いながら言った。
「彼女はまだここに来て一年ほどだからね。ここに来る前に信頼してた人に裏切られて自暴自棄になってたの。だからこれでもだいぶ落ち着いてきたのよ。そんなわけで、ヘルミとも無理に関わろうとしなくていいわ。それは私達の役目だから。あなたはとにかく、早くここでの生活に馴染むことね」
結局、ヘルミからは何も貰えなかった。無理もない。彼女もまだ石脇佑香と大して違わない立場なのだから。
『怖かった~…ちょっぴり、チビっちゃったかも……
無理に関わらなくていいって、言われなくても関わりたくないです……』
ヘルミの迫力に、彼女は思わずそんなことを考えていた。
でもまあとにかく、今のところは次の四号室で終わりだ。だがその前に……
「あの…、トイレ行ってきていいですか?」
そう言った石脇佑香にアーシェスは、
「あ、ここトイレ共同だから。階段横のそこね」
と指差して言った。
『え~…? トレイは共同なんだ……?』
正直、石脇佑香にとってそれはなかなかに厳しい話だった。
『学校とかは仕方ないけど、自分の家で他人とトイレを共有するって……なんかやだなあ……落ち着いてできなさそう……』
さりとて、それしかないのなら仕方ない。
『学校と同じって考えるしかないのかなあ……』
そう割り切ってトイレに入った。すると、
『あ…、でも、学校のトイレよりもキレイかも…良かった』
とユウカが思った通り、共同トイレと言っても、設備はちゃんと新しいシャワートイレだった。流水音を出すボタンも付いていた。壁に、業者による清掃のスケジュールが張り出されている。
『毎日朝夕、十分ほどトイレが使えなくなる…か。気を付けないとね』
個室は三つ。男性用の小便器も設置されてたがここは女性?しかいないので殆ど使われている形跡はなかった。来客用と考えればいいのだろう。
一息ついて落ち着いて、下着をチェックした。
『よかった…漏れてなかった』
下着が汚れていなくて安心したが、ただその時に気が付いてしまった。
『あ…そう言えばまだ、替えの下着が無いんだ…』
実際に生活を始めるには、まだまだ先は長いと思わされたのだった。
感情的になった幼子を諭すように、アーシェスはヘルミに語り掛けた。ユウカのことは正直、二の次になってたと思われる。
「…ふん」
と不満げに鼻を鳴らしてドアを閉ざしてしまった彼女をそれでも見つめようとするかのように、アーシェスは閉ざされたドアを見つめていた。しばらくして石脇佑香の方に向き直り、ふわっと笑いながら言った。
「彼女はまだここに来て一年ほどだからね。ここに来る前に信頼してた人に裏切られて自暴自棄になってたの。だからこれでもだいぶ落ち着いてきたのよ。そんなわけで、ヘルミとも無理に関わろうとしなくていいわ。それは私達の役目だから。あなたはとにかく、早くここでの生活に馴染むことね」
結局、ヘルミからは何も貰えなかった。無理もない。彼女もまだ石脇佑香と大して違わない立場なのだから。
『怖かった~…ちょっぴり、チビっちゃったかも……
無理に関わらなくていいって、言われなくても関わりたくないです……』
ヘルミの迫力に、彼女は思わずそんなことを考えていた。
でもまあとにかく、今のところは次の四号室で終わりだ。だがその前に……
「あの…、トイレ行ってきていいですか?」
そう言った石脇佑香にアーシェスは、
「あ、ここトイレ共同だから。階段横のそこね」
と指差して言った。
『え~…? トレイは共同なんだ……?』
正直、石脇佑香にとってそれはなかなかに厳しい話だった。
『学校とかは仕方ないけど、自分の家で他人とトイレを共有するって……なんかやだなあ……落ち着いてできなさそう……』
さりとて、それしかないのなら仕方ない。
『学校と同じって考えるしかないのかなあ……』
そう割り切ってトイレに入った。すると、
『あ…、でも、学校のトイレよりもキレイかも…良かった』
とユウカが思った通り、共同トイレと言っても、設備はちゃんと新しいシャワートイレだった。流水音を出すボタンも付いていた。壁に、業者による清掃のスケジュールが張り出されている。
『毎日朝夕、十分ほどトイレが使えなくなる…か。気を付けないとね』
個室は三つ。男性用の小便器も設置されてたがここは女性?しかいないので殆ど使われている形跡はなかった。来客用と考えればいいのだろう。
一息ついて落ち着いて、下着をチェックした。
『よかった…漏れてなかった』
下着が汚れていなくて安心したが、ただその時に気が付いてしまった。
『あ…そう言えばまだ、替えの下着が無いんだ…』
実際に生活を始めるには、まだまだ先は長いと思わされたのだった。
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