未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

焔と彩編 はるか遠い過去のもの

いや、むしろそういう考えの奴が、＜弱者＞という立場を得ると、

『電車とかの優先席を譲ってもらえて当たり前』

と考えるようになるってことだろうな。

そういう人間は、＜優先席を譲ってもらおうとする人間＞を嫌悪しているらしいが、要するに＜同族嫌悪＞ってヤツだろうさ。

現在の人間社会では、自動車がロボット化したことで非常にスムーズに走れるようになって鉄道ではなく自動車での移動を選択する者が増えた上に、一部の都市に人口が過剰に集中することがなくなったおかげで、

『立錐の余地もない』

みたいなラッシュを日常的に見かけることははるか遠い過去のものになった。

精々、大昔の＜ラッシュの映像＞がメディアで取り扱われてネタ扱いされるか、もしくは何か大きなイベントがある時に一時的に見られるくらいだな。

俺の場合は両親の死や妹の病気のあれこれでイベントどころじゃなかったから参加したこともほとんどなくてラッシュに遭遇したことがないし、

『優先座席を譲る譲らない』

なんて話を実感した覚えもなかったよ。

わざわざ優先座席に座ろうとしなくてもだいたい座れるし。

それでも、

『自分以外の誰かが優遇されるのは許せない』

的に考えるのはいて、他の席が空いていても優先座席を占拠しようとするのはやっぱりいたよ。

先にも触れたとおり、医療技術が進んでいわゆる＜障害＞についてもほぼ根治できるようになったがゆえに＜障碍者＞と呼ばれる存在は極めて稀になったが、妊婦はもちろん変わらず存在するし、＜高齢者＞も確かに体は不自由になっていく。だから＜優先座席＞は今なお残っている。

まあ、わざわざ譲ってもらわなきゃいけないほど混んでないんだから実質的に形骸化してるとも言えなくはないだろうが。

それにしても、

『妊婦や高齢者にも席を譲りたくない。気を遣いたくない』

だとか言ってる人間は、自分の親のことを尊敬も信頼もしてないんだろうな。

だってそうだろう？　自分の母親もかつて妊婦になって自分を生んだわけだし、自分の両親もいつかは高齢者になっていくんだから、それを気遣いたくないってのは、闇が深すぎるってもんだろ。

この話は、

『＜弱者＞と呼ばれる存在をどう定義するか？』

というのがポイントの一つだと思う。そして、

『＜弱者と定義された者＞をどう社会で受け止めるか？』

というのも重要なポイントだろうさ。

えてして＜マイノリティ＞については＜社会的に弱い立場＞とされることが多いと思うが、ここではそういう認識自体を回避したいと思ってる。