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第四世代

凛編 二人で一人のボス

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新暦〇〇四十年一月十七日



ただ、りんが狩りに出なくなったことで、当然ながら、

<彼女が実質的なボスであったことで成立していた群れ>

であることが改めて浮き彫りになってきた。

と言うのも、<狩りの成功率>が明らかに下がってきたんだ。

こう言うと、

ゆうを無能扱いしてる!』

などとキレる奴が出てくるかもしれないが、そんなつもりはまったくない。ゆう自身は必ずしも、

『レオンとしては劣ってる』

わけじゃない。狩りの腕も能力も平均レベルにはちゃんと達してるしな。ただ、あくまで、

りんの群れの場合はりんが実質的なボスだから成立していた』

のも事実だってだけなんだよ。

彼女自身、<飛び抜けて優秀なレオン>ってわけじゃないしな。仲間同士の連携のようなものが、

<彼女を介して行われていることで成立していた阿吽の呼吸>

とでも言うべき形だったって話だ。

だからこそりんが指揮しなくなったことで、その連携が上手く機能しなくなったと。

ゆうは、そうかいが加わった時の群れのボスの子で、りんよりも年齢は上だった。おそらく、そうかいよりも上だと思う。

となれば当然、レオンとしてはピークを過ぎていて、明らかに衰えてきてるんだ。むしろりんよりもはっきりと衰えてると言えるだろう。しかし、りんが実質的なボスであり彼は名目上のボスだったことで、ある意味じゃそうかいのような、

<二人で一人のボス>

だったとも言えるかもしれない。

で、そのりんが<事実上の引退>をしたことでボスとしての力も削がれたと。

そんなわけで、若い雄達を上手く統率できなくなってきてる感じか。若い雄達も、自身の力をアピールしたくてうずうずしていただろうしな。

<囮役>を任されていた時も、確かにそのまま彼らが獲物に襲い掛かった方が確実に仕留められそうな事例があったりもした。したんだが、<ボスの意向>が優先されてきたわけだ。実際、それによって狩りが成功してきたんだから、この事実が大きな説得力になってたわけで。

なのに、その狩りが上手くいかなくなってきたとなると、若い雄達の不満が一気に高まってしまったようだ。

もっとも、狩りが失敗したのは、その若い雄達がガゼル竜ガゼルインパラ竜インパラに気配を悟られたことでしっかりと準備が整う前に逃げられた所為ではある。

が、えてして、

『自分の所為で失敗したとは思いたくない』

のはレオンも同じようで、若い雄達はゆうがボスとしてちゃんとできてないからだと思っているらしい。ゆうに対する視線や態度が明らかに不穏なんだ。

いやはや、困ったものだよ。

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