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第四世代

凛編 仲良しグループ

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新暦〇〇四十年一月十日



改めて言うが、

『野生の獣の群れは、仲良しグループじゃない』

のは事実だと思う。だからこそ、ボスには群れをまとめるだけの<力量>が求められる。

実は、りんの実兄であるそうかいも、もうとっくにピークを過ぎて衰えを実感させられる状態になってるんだ。

しかし、そうかいの場合は、互いに互いの衰えを補い合うことで、実質的なボスの役割を今も果たしている。若い雄が挑んできても、息の合ったコンビネーションを見せて退けるんだ。

これを<卑怯>と称する人間もいるかもしれないが、いや、十中八九いるだろうが、<卑怯という概念>そのものも人間が勝手に作り出しただけのものだからな。野生を生きる存在にそんな理屈は通じない。

そうかいの二人がボス>

という群れを形成している以上は、これがこの群れの在り方なんだよ。しかも、

『それで誰が困ってるのか?』

と言えば誰も困っていないわけで。そうかいが二人して一人の雄に敵わなくなれば、その時はさすがに<潮時>だろう。

だが、その潮時を迎えたのは、二人の妹であるりんの方が先だったようだ。

あの日の翌日、再び狩りに出たのを最後に、りんは狩りには出なくなった。翌日の狩りでは見事に彼女が獲物を仕留めてみせたものの、自身の衰えを実感したのか、さらにその翌日から巣に残って子供達(りんの孫達)の面倒を見るようになったんだ。

まあ、『面倒を見る』と言うか、

『自分は横になったままじゃれつかせて遊ばせるだけ』

と言った方が正確かな。孫達も、喜んで<お祖母ちゃん>にじゃれついている。それをりんは、ゴロゴロしながら時折、軽くはたいたり突飛ばしたりして相手していた。

人間(地球人)の場合だといささか乱暴にも思える接し方であるものの、地球人の子供よりもはるかに身体能力が高く頑強な肉体を持つ<レオンの子供>にとってはまったく問題にはならず、むしろ、

「キャア♡ キャア♡」

とはしゃいでいるくらいだ。『遊んでもらってる』感覚なんだろう。

<違う生物>

であれば、前提条件がまったく違ってくる。<人間(地球人)の感覚>こそが絶対ってわけじゃない。

人間(地球人)の場合は、

『強くて優れた個体さえ生き残ればいい』

というわけじゃなかった。なにしろその、

『<強くて優れた個体>というのをどう解釈するのか?』

がそもそも『人によって違ってくる』からな。<完全に一致した見解>なんてものが存在しないってのは、地球人類の歴史を振り返るだけでも分かってしまう。

『自分の考える価値こそが正しい』

だとか、<ただの妄想>でしかないんだよ。

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