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第四世代

凛編 プロローグ

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新暦〇〇四十年一月三日



俺がここ<朋群ほうむ>に来てここで生きていく覚悟を決めて暦を作って、四十年が過ぎた。

もっとも、肉体的には<老化抑制処置>のおかげでそんなに大きくは変わってないけどな。

だがそれでも、確かに変化はある。鏡に映った自分を見て、

『老けたなあ……』

と感じる程度には。

そうだ。二百年を大きく超えた健康寿命が確保されていても、<命の終わり>はゆっくりと確実に近付いてきている。

<治療カプセルを使った人間ドック>

で、がん細胞をはじめとした病変はリセットされるものの、<加齢>そのものはなかったことにはできないんだ。

地球人社会においても、いまだ<不老不死>は実現されていない。老化を遅らせ、健康寿命を延ばしただけでしかない。

だから俺もいつかは死ぬ。それは分かってる。

『死にたくはないな』

とぼんやり思っていても、

『自分だけは死なない』

なんて考えるほどは夢想家でもない。いつか自分にもその順番が来ることは承知してるつもりなんだ。

あくまで、俺の勝手でこの世界に送り出してしまった子供達の人生を見届けたいと思っているだけで。

めいを見送り、しょうを見送り、しんを見送り、じょうを見送った。俺の実子じゃないが、きたるも見送った。

そして、ほまれひかりほむらあらたそうかいさいりんあかりすい錬慈れんじだが、ひかりあかり錬慈れんじについては、正直もう、俺が三人の人生を見届けることは諦めてる。

三人の寿命が尽きるまで俺の寿命がたぶんもたないだろうとは思ってるしな。

ただ、他の子供達については、いよいよ人生の最終盤に差し掛かっているのが一目で分かる。

中でも、かいの衰えが顕著だった。最近ではもう狩りにも積極的には出ていかず、日がな一日、<巣>でごろごろしつつ、自分やそうの孫達にじゃれつかれるままにしているだけだ。

さすがに大家族だけあって、しかも<兄弟二世帯同居状態>なだけあって、孫や曾孫の人数も多い。だからもう、敢えて詳細には触れない。そういう詳細なんか気にしなくたって、この光景そのものがかい達がいかに穏やかに過ごせているかを雄弁に語ってくれるしな。

とは言え、そんな中でも命を全うする者は出てくる。

いつもは孫達にじゃれつかれるままになってるかいが今日は、三人目のパートナーであるまいに寄り添ってそこから動こうとしなかった。孫達も、いつもと様子が違う彼に何かを察したのか傍には寄り付かず、母親達に甘えていた。

そして、

まいの心臓が停止しました」

そうかい達を見守ってくれていた<アンデルセン>からの報告が届く。

日没と共に、まいがその生涯を閉じたんだ。

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