2,210 / 2,607
第四世代
ホビットMk-Ⅱ編 薬効
しおりを挟む
ここの自然は、本当に豊かだ。人間が人間として生きていくのに必要なものがほとんど揃っている。
特に<生物資源>としては、地球で手に入るものとほぼ同等の種類と質がすでに確認できてるんだよな。
これは本当に大きい。
もちろん、六十世紀の地球人社会では必須になっていた資源の一部は、ごくごく限られた資源惑星でしか手に入らないものだったことで、ここでは現時点では発見できていないし、おそらく存在自体しないんだろうなとは覚悟している。
それに、もし存在したとしても利用するために必要な設備がそもそも作れる段階にないから、おそらく俺が生きてる間はそのレベルに達することは事実上不可能だろう。
とは言え、<医療用ナノマシン>を別に考えても、少なくとも二十一世紀頃の医療レベルは確保できているんだ。<風邪薬>に<頭痛薬>に<鎮痛剤>に<抗生物質>もある。だからその点ではもう大きな不安もない。<老化抑制処置>については再現できる目途はまったく立たないものの、そこまで期待するのはむしろ、
『高望みしすぎ』
ってものだろうさ。
それどころか、<向精神薬>や<大麻>や<麻薬>さえあるぞ。
もっとも、大麻や麻薬についても、あくまで<薬効>を利用する形だけどな。これは地球人社会でも同じだった。
もちろん、厳重に管理されて本来の<薬>として以外の利用は厳しく制限されてる。<大麻>などは、その薬効を理由に解禁することを求める人間もいたが、大麻が持つ薬効については他に同等以上の効果を持つものがあるから、解禁する意味もなかったそうだ。
単なる<嗜好品>として求めてるだけなのを薬効を言い訳にしてるのを見透かされた上に、他に安全かつより効果が確実なものがあったことで結局は解禁しなかった国も多かっただけじゃなく、一度は解禁した国でも再び禁止に転じたところもあったとさえ聞くな。
そもそも、
<そんなものの薬効に頼らなければいけないような状況>
の方をまず改善するのが先だろう? そこを論じることさえせず、
『解禁ありき』
でただのこじつけのような詭弁を並べているだけの自分達の姿にさえ気付かないというその様子が、根本的に大麻に興味を持たない人間達の不信感を煽り、支持を得られなかったというのが大きかったみたいだし。
要するに、
『自分で自分の首を絞めた』
わけだな。
加えて俺達には、そんなものの<効能>に頼らなければいけない理由が最初からないんだ。
だからあくまで<ただの植物の一種>としての関心しかないわけで。
特に<生物資源>としては、地球で手に入るものとほぼ同等の種類と質がすでに確認できてるんだよな。
これは本当に大きい。
もちろん、六十世紀の地球人社会では必須になっていた資源の一部は、ごくごく限られた資源惑星でしか手に入らないものだったことで、ここでは現時点では発見できていないし、おそらく存在自体しないんだろうなとは覚悟している。
それに、もし存在したとしても利用するために必要な設備がそもそも作れる段階にないから、おそらく俺が生きてる間はそのレベルに達することは事実上不可能だろう。
とは言え、<医療用ナノマシン>を別に考えても、少なくとも二十一世紀頃の医療レベルは確保できているんだ。<風邪薬>に<頭痛薬>に<鎮痛剤>に<抗生物質>もある。だからその点ではもう大きな不安もない。<老化抑制処置>については再現できる目途はまったく立たないものの、そこまで期待するのはむしろ、
『高望みしすぎ』
ってものだろうさ。
それどころか、<向精神薬>や<大麻>や<麻薬>さえあるぞ。
もっとも、大麻や麻薬についても、あくまで<薬効>を利用する形だけどな。これは地球人社会でも同じだった。
もちろん、厳重に管理されて本来の<薬>として以外の利用は厳しく制限されてる。<大麻>などは、その薬効を理由に解禁することを求める人間もいたが、大麻が持つ薬効については他に同等以上の効果を持つものがあるから、解禁する意味もなかったそうだ。
単なる<嗜好品>として求めてるだけなのを薬効を言い訳にしてるのを見透かされた上に、他に安全かつより効果が確実なものがあったことで結局は解禁しなかった国も多かっただけじゃなく、一度は解禁した国でも再び禁止に転じたところもあったとさえ聞くな。
そもそも、
<そんなものの薬効に頼らなければいけないような状況>
の方をまず改善するのが先だろう? そこを論じることさえせず、
『解禁ありき』
でただのこじつけのような詭弁を並べているだけの自分達の姿にさえ気付かないというその様子が、根本的に大麻に興味を持たない人間達の不信感を煽り、支持を得られなかったというのが大きかったみたいだし。
要するに、
『自分で自分の首を絞めた』
わけだな。
加えて俺達には、そんなものの<効能>に頼らなければいけない理由が最初からないんだ。
だからあくまで<ただの植物の一種>としての関心しかないわけで。
0
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
人間不信の異世界転移者
遊暮
ファンタジー
「俺には……友情も愛情も信じられないんだよ」
両親を殺害した少年は翌日、クラスメイト達と共に異世界へ召喚される。
一人抜け出した少年は、どこか壊れた少女達を仲間に加えながら世界を巡っていく。
異世界で一人の狂人は何を求め、何を成すのか。
それはたとえ、神であろうと分からない――
*感想、アドバイス等大歓迎!
*12/26 プロローグを改稿しました
基本一人称
文字数一話あたり約2000~5000文字
ステータス、スキル制
現在は不定期更新です
幼馴染は何故か俺の顔を隠したがる
れおん
恋愛
世間一般に陰キャと呼ばれる主人公、齋藤晴翔こと高校2年生。幼馴染の西城香織とは十数年来の付き合いである。
そんな幼馴染は、昔から俺の顔をやたらと隠したがる。髪の毛は基本伸ばしたままにされ、四六時中一緒に居るせいで、友達もろくに居なかった。
一夫多妻が許されるこの世界で、徐々に晴翔の魅力に気づき始める周囲と、なんとか隠し通そうとする幼馴染の攻防が続いていく。
こおりのほしのねむりひめ(ほのぼのばーじょん)
京衛武百十
ファンタジー
厚さ数キロの氷に閉ざされた自由惑星<ハイシャイン>。その氷の下に僅かに残された人間の世界に生まれ育った浅葱(あさぎ)は、十三歳を迎え一人前の砕氷(さいひ)となるべく先人達が永久凍土を掘り進めた氷窟に挑む。そこで彼女が事故のようにして巡り会ったのは、氷点下四十度の中で眠り続ける、女性の姿をした何者かであった。浅葱はそれを<ねむりひめ>と名付け、村へと連れ帰ろうとするのだが……。
筆者より。
なろうで連載していた「凍結惑星 ~こおりのほしのねむりひめ~」の、表現をマイルドにした<ほのぼのばーじょん>です。「凍結惑星 ~こおりのほしのねむりひめ~」を読むときの感じで読もうとするとずっこけるようなものしたいと思います。科学的な考証とかにはなるべく拘りたくない。と、思います(努力します)。
ちなみに筆者自身は登場人物達を三頭身くらいのデフォルメキャラという感じで脳内再生しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる