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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 そういう設定

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『何らかの軋轢を抱えている当事者達に対して周囲がそれなりにきちんと対処しようとしてくれていれば、その実感があれば、<大きな揉め事>には至らずに済む。場合もある』

というのも紛れもない事実だと俺は思う。

むしろそれがないからこそ、

『自分で何とかしよう』

と思ってしまうんだろうしな。

でもな、個人が『自分で何とかしよう』と考えるのは、えてして、

<次のトラブルの原因>

になってしまったりもするよな。

<それを示す実例>

は、地球人社会においても無数にある。だからこそ<自力救済>は認められない傾向にあるんだ。

人間ってのはどうにも<自分勝手>なところがあって、自分にばかり都合のいいように物事を捉えがちだからな。

『やりすぎてしまう』

ってことだ。

<境界線を侵されたことで実力行使に及んでしまったホビットMk-Ⅱ>

の振る舞いは、人間のそういう部分を再現したものなんだよ。

それと同時に、

『この事態を回避するには何が必要だったのか?』

を検証するためのものでもある。

今回の場合、

<隣人である花を育てるホビットMk-Ⅱに境界線を侵されたホビットMk-Ⅱ>

についても、実力行使に及んでしまうまでにはそれなりに<我慢>をしてきた。なにもいきなり事に及んだわけじゃない。何度も何度も、

『花壇を撤去してくれ』

と申し入れてきた。なのにそれが聞き入れられなかったからこそ限界を迎えてしまっただけだ。

もしここで、おさが言うようにあらかじめ<相談>していて、おさの側がそれなりに働きかけてくれていれば、その実感があれば、ここまでのことにはなっていなかったかもしれない。

だからこそ、<相談>がしやすい状況を作り、かつ、おさの方も確実に目に見える形で動くことが必要だったんだろうな。

『それが為されていれば』

と悔やまれる。

だがその一方で、

『花壇が境界線を越えていることを何度も告げられながら耳を貸そうとしなかった<花を育てるホビットMk-Ⅱ>がどうしてそのような振る舞いをせずにいられなかったのか?』 

という点についても検証が必要だろう。

そもそも、なんでわざわざ隣家との境界線を越えてまで花壇を築く必要がある? ロボットであるホビットMk-Ⅱ自体には、本来はそんなことをしなきゃならない<理由>がない。<花を育てるホビットMk-Ⅱ>がそんなことをしでかしたのは、

<そういう設定>

を敢えて与えたからだ。

『そういうシミュレーションを行う』

ために。

じゃあなぜ、今回のようなことをしでかす人間が実際にいる?

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