未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 不満の聞き役

＜不満の聞き役＞

いわゆる＜村社会＞というものが人間の集団の基本だった頃には、身近にそういうのが当たり前にいたんだろう。小さな集団が一人の有力者によって統治されていると言っても、その＜有力者＞自体がそれこそよく見知った相手だったりするだろうし、＜不満＞や＜愚痴＞を吐き出しやすかったりもするだろうさ。

そうして随時＜ガス抜き＞をすることで、直接の衝突がなるべく起こらないようにすることもできてたと。

だが、＜個人の権利＞が保証されるに伴って小さな村社会が事実上解体され、そういう＜不満や愚痴を聞いてくれる相手＞についても個人個人で見付けるしかなくなったがゆえに、それを見付けられない人間は、鬱憤を溜め、そしてその鬱憤の閾値が超えると、爆発的に表に出すようになると。

これがまあ、＜モンスターペアレント＞や＜モンスタークレーマー＞を生む背景になってるとも言われているな。

だからこそ、今の地球人社会ではメイトギアがその役割を担ってたりもするんだ。主人の＜愚痴＞に耳を傾け、必要とあれば冷静で具体的な対処法をアドバイスし、時にはそれこそ＜暴力＞を受け止めることで、

＜鬱憤の捌け口＞

として機能し、他者に向かないようにしてくれてるんだよ。このおかげで犯罪発生率が下がっているというのも事実だそうだ。

なにしろ、メイトギアが実用化される以前は＜家族＞こそが鬱憤の捌け口だったりしたこともあったりで、それも限度を超えればもちろん＜事件化＞するからな。こうなると当然、＜犯罪＞として認知もされる。

ただそれでも、

『心も感情も持たないロボットに八つ当たりしてもつまらない』

的に考えるのもやっぱりいて、そういう奴が家族をはじめとした、

＜八つ当たりしやすい人間＞

を虐げて、結果的にそれが＜事件＞になることもあるんだ。＜殺人事件＞の多くはそういう形で起こるものになってるとも聞く。

それを聞くにつけ、

＜人間という生き物＞

の業の深さを思い知らされるよ。

なんでわざわざ自分から不幸になりに行くんだろうな。そんな形で事件になれば社会そのものから非難を受けることになるのにな。そうなったらそれこそ＜平穏＞なんて望みようもなくなるのにな。

俺には到底理解できないことだが、なぜかそっちを選択してしまう人間もいる。

ホビットサンク村でのシミュレーションは、それを検証するためのものでもある。

まあある意味じゃ、

『わざとトラブルを起こしてる』

わけだが、

＜あくまでも完全な管理下にあるそれ＞

は、実際には＜不測の事態＞じゃないしな。