未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

丈編 正直な気持ち

自分達は＜衝立＞の陰に隠れつつ、＜親鳥を模したリアルな人形が付いた棒＞を使って、棚の上に再現した＜巣＞にいるヒナに餌を与える。

＜親鳥を模したリアルな人形＞は、本物と同じく羽ばたいて巣にとまり、

「チチュチチュチチュ！」

と声を上げながら大きな口を開けて餌をねだるヒナの口に小さな虫を入れてやると、それを飲み込むまでの間は静かになった。だがまたすぐに、

「チチュチチュチチュ！」

と声を上げて次をねだる。するとホビットMk-Ⅱは、＜親鳥を模したリアルな人形が付いた棒＞を操って、再び餌を採りに行く親鳥を演じた。

これを、何度も何度も繰り返す。

夜になってヒナが眠りにつくまで延々とだ。実に気の遠くなるような作業だった。
だが、

『子を育てる』

ってのは基本的にこういうものだよな。

それこそ卵の状態で生みっぱなしにして後は子供が自力で生きていくのに任せるというやり方をする動物もいるが、そういうのはだいたいたくさんの卵を生むことで、生き延びるのが出てくる確率を上げる形だよな。

人間（地球人）はそういうのを見て『愛情のあるなし』を語ったりするが、そもそも＜愛情＞なんてのも結局は人間（地球人）が便宜上生みだした概念でしかないことは分かっている。自分達が＜特別な存在＞なんだと思いたいがためのな。

子供を生みっぱなしにするのも手間を掛けて守り育てるのも、あくまで、

＜生存戦略の違い＞

でしかない。そこに＜愛情＞なんてものはない。

＜子供を守り育てる上でモチベーションを保つために生じる感覚＞

を＜愛情＞と称してるだけだ。

まあこれについても、頭に血を登らせて反論してくるのもいるらしいが、自分がそう思いたいのならそれはそれで構わないさ。ただ、人間の親がすべて子供を愛してるかと言えば実はそうじゃないのも現実であって、しかもその数は決して少なくないこともしっかりと判明してる。

＜愛情＞そのものは、食欲や性欲といったものよりもはるかに曖昧で希薄で根拠に乏しいものなんだよ。特に人間の場合は、全員が子供を生んで育てていかなくても種として成立してしまうほど数が多いからな。野生の動物よりもずっとそれが希薄になってしまっててもむしろ当然だろう。

それどころか、種としてのバランスを保つために数を減らそうとすることの方が、

＜本能の働き＞

であると唱える専門家もいるそうだ。レックスもその一人である。

「それでも僕はシオを愛しているけどね」

と、彼は言う。そしてシオも、

「私もレックスを愛してるし、彼の子供が欲しいと願ってる」

と。

それも正直な気持ちだな。