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第四世代
丈編 リアルとリアリティ
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さらについでに、
<自分達だけで理想の社会を築こうと新天地を求めて宇宙に乗り出した者達>
についても語ろうか。
と言っても、これについてはほとんどが<都市伝説>の域を出ない風聞に過ぎないものとされてるが。
大々的に自分達の旅立ちを喧伝した者達もいたからさすがにそれについては記録も残ってるものの、そういう事例はすべて、<悲惨な結末>を迎えたそうだ。
その者達をサポートするためにもAIがもちろん同行していたが、せいぜいが全長数十キロ程度の<大型移民船>や<移動用の推進機を備えたスペースコロニー>でしかなく、宇宙という環境の前ではその程度の塵一つにも等しい小規模な人工環境では、他からの支援もなく設備の維持管理は不可能にも等しいものなんだと。
もちろん、その手の技術的な知見を持つ者達からは、
『あまりにも無貌だ』
『絶対に無理だ』
とは言われていて、一度は参加を決めたものの詳細な技術的検証を行ったことで参加を取りやめた者もいて、結果、自らの命を救ったんだとか。
そういう類の、物事を楽観視して無謀な真似をする人間は後を絶たなかったらしいが、これについてもそういうことなわけだな。
で、AIがどれほど人間を生かすために頑張ろうと、生命維持に必要な環境を維持しきれず、結果、<生きるために必要なパイの奪い合い>が起こり、しかし小さな小さな人工環境の中でそんなことを行えばそれこそ環境破壊が進んでしまい、最終的には誰一人生き延びることができなかったと。
当然ながらAIは生き延びた人間達のためにできることをしてくれてて、しかしそれさえ種としては一時的な延命に過ぎなかったらしい。
その一方で、人間が死に絶えても、AIを維持するだけなら宇宙空間もそれなりにエネルギーを確保できるし、酸素などもほぼないことで劣化しないから、スリープ状態になっても何千年でも存在できる。
そうして後に回収されたAIが記録していた顛末が、かつて映画にもなったらしいな。
もっとも、その映画のラストは、
『主人公とヒロインが新しい惑星のアダムとイブになる』
というものだったそうだが。
実に陳腐な結末だとは思うものの、
<見た者に満足感と充足感を与えるエンターテイメントとしてのフィクション>
としてはむしろそれが正しいんだろう。リアルなだけなら現実を見てればいいわけだしな。
『リアルとリアリティは違う』
ってヤツだ。とはいえ、『主人公とヒロインが新しい惑星のアダムとイブになる』という結末にそのリアリティとやらがあるとは俺は感じないけどな。
<自分達だけで理想の社会を築こうと新天地を求めて宇宙に乗り出した者達>
についても語ろうか。
と言っても、これについてはほとんどが<都市伝説>の域を出ない風聞に過ぎないものとされてるが。
大々的に自分達の旅立ちを喧伝した者達もいたからさすがにそれについては記録も残ってるものの、そういう事例はすべて、<悲惨な結末>を迎えたそうだ。
その者達をサポートするためにもAIがもちろん同行していたが、せいぜいが全長数十キロ程度の<大型移民船>や<移動用の推進機を備えたスペースコロニー>でしかなく、宇宙という環境の前ではその程度の塵一つにも等しい小規模な人工環境では、他からの支援もなく設備の維持管理は不可能にも等しいものなんだと。
もちろん、その手の技術的な知見を持つ者達からは、
『あまりにも無貌だ』
『絶対に無理だ』
とは言われていて、一度は参加を決めたものの詳細な技術的検証を行ったことで参加を取りやめた者もいて、結果、自らの命を救ったんだとか。
そういう類の、物事を楽観視して無謀な真似をする人間は後を絶たなかったらしいが、これについてもそういうことなわけだな。
で、AIがどれほど人間を生かすために頑張ろうと、生命維持に必要な環境を維持しきれず、結果、<生きるために必要なパイの奪い合い>が起こり、しかし小さな小さな人工環境の中でそんなことを行えばそれこそ環境破壊が進んでしまい、最終的には誰一人生き延びることができなかったと。
当然ながらAIは生き延びた人間達のためにできることをしてくれてて、しかしそれさえ種としては一時的な延命に過ぎなかったらしい。
その一方で、人間が死に絶えても、AIを維持するだけなら宇宙空間もそれなりにエネルギーを確保できるし、酸素などもほぼないことで劣化しないから、スリープ状態になっても何千年でも存在できる。
そうして後に回収されたAIが記録していた顛末が、かつて映画にもなったらしいな。
もっとも、その映画のラストは、
『主人公とヒロインが新しい惑星のアダムとイブになる』
というものだったそうだが。
実に陳腐な結末だとは思うものの、
<見た者に満足感と充足感を与えるエンターテイメントとしてのフィクション>
としてはむしろそれが正しいんだろう。リアルなだけなら現実を見てればいいわけだしな。
『リアルとリアリティは違う』
ってヤツだ。とはいえ、『主人公とヒロインが新しい惑星のアダムとイブになる』という結末にそのリアリティとやらがあるとは俺は感じないけどな。
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