未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

丈編 心を持つからこそできること

とにかく、どんなに万全を期したつもりでも、＜人間＞という生き物の複雑怪奇さを考えれば、

『これで間違いない！』

ってのは有り得ないと考えた方がいいだろう。と同時に、考えすぎて行動できなくなるのも問題だからな。

『想定は悲観的に。決断は楽観的に』

久利生くりうも言っていたそれは、

『考えることは大事ではあるものの、考えすぎて動けなくなってしまっては本末転倒であり意味がない』

ということも表していると思う。

なにしろ、AIだって完璧な対応ができるわけじゃない。いや、そもそも何もかもをAIが決めるわけじゃないんだ。

＜分かってないのに分かってるふりをして仕事を進める奴＞

がやらかした件についても、すべてをAIが管理監督していればそんなことにはそもそもならなかっただろうと言われている。

しかし、

＜人間の身体生命に関わる危険＞

でももたらされるわけじゃなければ、不法な行いでなければ、あくまで経済的な損失だけで済むのであれば、実はAIはそこまで強く干渉してこない。

もちろんそれでも、適切じゃないことをしていればそれを告げてくれるし、アドバイスもしてくれる。くれるんだが、＜分かってないのに分かってるふりをして仕事を進めるような奴＞は、そもそもそういうことに耳を貸さなかったりするよな。

本人は、

『自分はちゃんと分かってる』

って思ってるから、

『余計なことを』

と感じてたりするし、中には、

『自分が本当はちゃんと分かってないというのを悟られたくない』

ってことで、

『アドバイスなんて不要』

みたいに考えてるのもいるらしい。

いやはや、困ったものだよ。

人間のこういう部分も、AIからすれば意味不明だそうだ。

＜分からないことを『分かっている』と思えてしまう心理＞

というものも、やはり＜心を持つがゆえに生じるバイアス＞であって、

＜AIには備わっていない機能＞

だしな。

そもそもAIは、

『分からないことを分かっていると考えることができない』

わけで。

最初期のそれに比べれば＜曖昧さ＞といったものも理解できるようになったAIではあるものの、しかしその根本の部分では、

『0か1か』

というのは変わっておらず、分かっていないという事実を分かっているということにはできない。明らかに事実に反するしな。

事実じゃないことを『そうだ』と言うのは明確な嘘であるとも言えるし、AIは嘘を吐くことができないし。

ああそうだ。＜嘘を吐くという行為＞は、

＜心を持つからこそできること＞

でもあるんだよな。