未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

丈編 アカトキツユ村の防衛システム

新暦〇〇三八年九月五日



アカトキツユ村での新あらたとレトとルナの暮らしは、平穏そのものだ。あんずとますらおに加え、ドーベルマンMPM数機とドローン二十数機、さらに今ではホビットMk-Ⅱも合流し、

＜集落としてのシミュレーション＞

が行われているそこは、危険らしい危険がほとんどないんだよ。パパニアンの天敵であるマンティアンやパルディアもまず近付くことはできないわけで。

もちろん、丈じょうや淕りくの縄張り内をうろついている若いマンティアンのようにして近付いてくるマンティアンもいたりするものの、あんずとますらおが中核をなす防衛システムは、小さな集落を一つ守る程度であればすでに十分なものになっていた。

だから、新あらたもレトもルナも穏やかに暮らすことができている。

まあ、

『三人だけを守ればいい』

というのもあるんだろうが、それでも、密林内での活動も活発で行動範囲が広く移動速度も速いパパニアンの三人を守るというのは、人間（地球人）三人を守ることに比べればかなり難易度は高くなるだろう。そうだな。人間（地球人）なら十人を一度に守っているようなものかもしれない。

今日も、自分達のお気に入りの果実が生る木に向かう三人を、二機のドローンと二機のホビットMk-Ⅱが警護していた。ドローンはともかくホビットMk-Ⅱの方はさすがに新あらた達のように樹上を移動することはできないものの、障害物の多い地上を全速力で駆け抜け、三人についていく。

さっきも言ったとおり、マンティアンやパルディアなどが新あらた達の活動範囲内に近付いたりしないようにしてるとはいえ、それでも百パーセント確実というわけじゃないからな。

実際、

「！」

新あらたが突然、立ち止まってしまった。すると、レトとルナも立ち止まる。そして新あらたが険しい視線を向けた先にいたのは、マンティアンだった。まだ十分に距離が離れているから今すぐ危険というわけでもないが、だからこそよく気付いたなとも思う。密林の中でのマンティアンの隠形は、人間（地球人）だとおそらくほとんどの者が、実際に襲われるまで気付けないだろう。慣れてるはずの俺だって気付ける自信はない。

対してパパニアンは、基本的に自分の身は自分で守るしかないから、危機察知能力は自然と磨かれるだろうし、それを高く保つことができない個体が生き残るのは、残念ながら難しい。

ロボットに守られている新あらた達ではあるものの、その点ではまだまだ十分に野生を残してるということだな。しかも、新あらたのそんな姿を見て、レトとルナもパパニアンとしての生き方を学んでるんだ。