未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

深編 無理に我慢する必要がない

新暦〇〇三八年五月十二日



地球人社会の場合。＜身勝手な奴＞にもしっかりと＜人権＞はある。

これは、

＜人間として生きられる権利＞

を保証することで、

『死なばもろとも』

や、

『破れかぶれ』

という形で自棄を起こしたりしないようにするための＜予防線＞でもあるんだ。実際のところ、生産力の向上により生きる上で必要な諸々が確保されていったことと合わせ、

＜生きていける保証＞

がされるようになったことで、劇的に犯罪が減っていったという事実もある。単なる我欲のためだけじゃなく、それこそ生きるか死ぬのかの瀬戸際にあった人間が、

『生きるために奪う』

ということをしなくて済むようになっていったからな。そうなると当然、その分の犯罪も減るさ。

だから＜人権＞てのは別に、

＜我儘を押し通すための便利な道具＞

なんかじゃない。そもそもが人間として生きるために必要な＜知恵の産物＞の一つなんだよ。

なのに地球人社会では、＜人権＞というものを、自分の我儘を押し通すために使える便利な道具として利用しようとする者が後を絶たなかった。なるほど人権を盾に取れば、それを是とする社会においては大きな力にもなるだろう。そこは否定しない。

でもな、人権が効力を発揮するのは、それを保証してくれる価値観がある場合だけだぞ？　野生の生き物相手にそんなものは、糞の役にも立ちはしない。人権をいうものを＜三葉葵の印籠＞のごとく相手を平伏させるために使う奴らはそれを理解してるのかねえ。

だからこそ問題なのは、

『なぜそんなことをする奴になってしまったのか？』

『なぜ人権というものを自身の我欲を押し通すための道具として利用するような奴になってしまったのか？』

なんだ。

『自分の欲を我慢できないのは人間の本能だからだ』

とか言うのもいたりするが、それはおかしい。『本能だから』と言うのなら、誰もが同じように我慢できない奴じゃないと筋が通らない。なのに実際には、ちゃんと我慢できるのもいる。

そうやって実際には我慢できるのがいる以上は、

『その違いはどのようにして生じたか？』

という点でまた考えなきゃいけなくなるな。

そしてそれは、

『躾けられた』

からじゃない。そもそも『自分の欲を我慢できないのは人間の本能だから』ということなら、＜躾＞なんてものはそれこそ無意味だ。『我慢できない』のが前提にあるんだからな。躾によって抑え付けようとしても抑えられないからこそ＜本能＞なんて言葉を使うんだろう？

てことは、結局、

『無理に我慢する必要がない』

というのが大事になってくるんじゃないのか？