未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

深編 ただのお客さん

新暦〇〇三八年五月十日



ただ、

『短慮を起こすタイプの人間がいない』

ことでここに築かれることになる社会が穏やかなものになるとしたら、

『やっぱり短慮を起こすタイプの人間は排除した方がいい社会になるんじゃないか』

的に考えるのが出てくるだろうというのも、人間という生き物の業だろうな。

違うんだ。そうじゃない。ここにコーネリアス号の搭乗員達がいるのは本当に、

『たまたま』

なんだ。誰かが狙ってそうしたわけじゃない。意図的に『短慮を起こすタイプの人間は排除する』なんてことをしようとしてもそれが上手くいく保障なんかどこにもないんだよ。

大体、都合が悪いからって排除しようとすれば、＜排除される側＞だって大人しく言いなりになるわけがないよな。それこそ破れかぶれで抵抗だってするだろう。

それどころか、 別に選ばれなかったからといって命に関わるわけでもない＜惑星探査チームのメンバー＞の選出に漏れたからという理由で、ネットに関係者の殺害を予告する書き込みをする奴がいたり、果ては、拳銃を持って 関連施設のオフィスに乗り込んだりした奴までいたそうだ。

そんなだから選ばれなかったんだというのが、理解できないらしい。

だってそうだろう？　＜宇宙船＞という限られた空間の中で、自分の思い通りにならなかったからといってそんなことをしでかしたら、どんな結末を招くか分かったもんじゃない。それこそ最悪、全滅することだって十分に有り得る。なにしろ、壁の向こうは、生身の人間じゃ絶対に生きていられない空間だ。宇宙空間で生きていられるようには人間の体はできていない。

人間の生存に必要なものが何一つそこにはない上に、途轍もない強さの宇宙放射線に満たされてもいる。まったく話にならないんだからな。そんなところに、宇宙船なんていう小さな小さな保護カプセルみたいなもので強引に乗り出してるわけで、ほんの些細なことで人間が生存できる環境なんて破壊されてしまうんだよ。

自分の感情を優先してそういう事実を無視できてしまうような人間を、惑星探査チームに加えることなんてできやしないんだ。

そもそも、地球上で運用されている旅客機でさえ、乗客が身勝手なことをするだけで墜落の危機に曝される危険性があるからこそ、

『機長の指示に従わない乗客は登場を拒否される』

こともあるんだろう？　機長の指示に従わない乗客がいる間は飛べなかったりするんだろう？

それと同じことだ。ましてや＜ただのお客さん＞じゃないんだからな。惑星探査チームのメンバーは。

とはいえ、そうやって搭乗を拒否したとしても、基本的には当人の命に関わるようなことじゃないのもまた事実だな。