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第四世代

深編 システムに拘っているのは

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新暦〇〇三八年四月三日



だからこそ、俺は、

<子供もできないような不毛な関係>

を続けてるほむらさいに対しても何も言わないし、パートナーを作ろうとしないあらたに対しても何も言わないんだ。それを言っても無駄なのは分かってるしな。

他にも、<性分化疾患>によって雄でも雌でもないあんが、ドーベルマンDK-a号機をまるでパートナーのようにして一緒に行動してることについても、何も言うつもりはない。

そりゃ、父親や祖父として思うところがないわけじゃないさ。

『できればほむらさいあらたあんの子供を見てみたい』

という気持ちだってないわけじゃない。けどな、自分の要望がいつだって通るわけじゃないのも事実だろう? 何もかもが自分の思い通りになるわけじゃないのも事実だろう? それをわきまえていれば、

『自分の望みを相手に押し付ける』

なんてのがいかに<現実離れした暴挙>かってのも分かると思うんだよな。

とにかく、野生ってのは地球人が思ってるほど決まりきったシステムで成り立ってるわけじゃないんだ。むしろシステムに拘ってるのは地球人の方だろうさ。<国>という既存のシステムの維持に拘ってな。

でもまあ、野生を捨てた地球人はすでに<国>を始めとした社会システムの中でしか生きられないのもまた事実。その社会システムの維持は、地球人が生きていく上で必要なことになった。だからこそ、これまた何度も触れてきたように、

<社会システムを維持するためのリソースである人間>

に対して危害を加えることを禁忌とした。その実感は今でも揺るがない。それどころかますます強固になっていってる印象しかないな。

ゆえに俺は、仲間内で互いを攻撃することを禁忌とする。それを<法>という形で縛るのも一つの方法かもしれないが、一方的に上から押し付ける形でそんなことを言われても素直に聞いてくれないのも人間ってものだろう。となれば、頭ごなしに、

『法に従え!』

とするんじゃなく、先達である大人がまず手本を示すことで、その真似をするだけで概ね穏やかに無駄な軋轢を生むことなく生きていけるようにしていきたいんだよ。

だいたい、頭ごなしに押し付けようとする奴ってのは、基本的に自分のことは棚に上げるだろう? 自分はモラルのない振る舞いをしておいてモラルを口にしたりな。

そんなことをしていて相手が素直に言うことを聞いてくれるとか、どうしようもなく陳腐な<ご都合主義>でしかないってもんだ。

それが分かっていてなんで頭ごなしに押し付けようと考える?

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