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第四世代

彗編 キャサリン自身に

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引き際をわきまえない無謀さゆえに、若いオオカミ竜オオカミはキャサリンの前に命を落とす結果になった。

それはもちろん、キャサリンの方がそうなっていた可能性があるものとも言える。だが、今回の件については勝てると分かっていたから挑んだというのも感じるんだよ。彼女はその辺りを承知してくれてる気がする。

人間の知能や知識としてというよりは、<野生の本能>に近いそれだとは思うが。

「キャサリン……」

ライフルのスコープを除きつつも、引き金に掛けた指にも体にも緊張感は見られなくなっていたビアンカが娘の名前を呟く。そして、狙撃の構えを解いて、ライフルのセーフティーを掛けて、

「そうですね……私も覚悟しないといけないと感じました。彼女がこのまま巣立っていくなら、それを認めないとって思います……」

少し寂しそうに口にした。

無理もない。キャサリンは実年齢ではまだ二歳だ。地球人の感覚ではさすがに早すぎる。俺だって

『そんなに急がなくてもいいんじゃないか……?』

とは正直なところ思ってしまう。しまうが、事実は事実として認めないといけないとも思う。

そこに久利生くりうが、

「でも、十六号機もついているし、完全に僕達の目の届かないところに行ってしまうわけじゃない。と考えることもできるんじゃないかな」

自分の伴侶を労わるように声を掛けてくれた。これにはビアンカも、

「はい、そうですね。少佐のおっしゃる通りだと思います」

今なお『少佐呼び』は改まらないが、それでも安堵した様子はあるな。やはり、久利生くりうの言葉が一番、彼女には届くということだ。

さらにあかりも、

「うん、私の目からもキャサリンの強さは折り紙付きだと感じるよ。その上でドウがいれば安心安心♡」

と胸を叩く。

しかし今度はルコアが、

「だけど心配なのも正直な気持ちだな……」

血は繋がらないものの<姉>として妹を案じる様子を見せる。これもまた、あって当然の意見だろう。

そこにレックスが、

「あくまで部外者かつ行動生物学の専門家としての意見ではあるけれど……」

と前置きした上で、

「キャサリンの振る舞いはアラニーズとしては決して特異なものじゃないと感じるのも事実かな。むしろケインやイザベラの方が少し変わってるのかもしれない。というのが私の印象だ」

そう告げてきた。

それら様々な意見や考え方もあった上で、実の母親であるビアンカは、

「キャサリン自身に任せます」

決断してくれた。だから今日はもう、キャサリンを迎えにはいかなかった。そのまま帰ってきたんだ。

でもその後で、日が暮れてからキャサリンも帰ってきたけどな。自分が捕らえた獲物で食事を済ませて。

取り敢えず今日のところはまだということだったんだろう。

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