1,777 / 2,588
第四世代
光編 移動拠点仕様
しおりを挟む
新暦〇〇三六年十二月二十八日
こうしてルイーゼは、桜華と高仁を伴い、鉱物資源の調査に出ることになった。そのためにまた、ローバーを一台、組み上げる。彼女が好き勝手にうろついて調査できるように、<移動拠点仕様>として。
まあ要するに<キャンパー仕様>ということだな。荷台部分に居住スペースと簡易分析器を備え、物資についてはオートジャイロで順次届ける。
彼女の身の回りの世話と警護については桜華と高仁がいれば問題ない。
そんなこんなで組み上がったローバーに乗り込み、ルイーゼはシオとレックスに見送られてコーネリアス号を出発した。大した行動力だよ。
俺は、錬慈の世話をしながらタブレットでその様子を見ていただけだ。それまでの諸々の指示は、俺の承認が必要なもの以外は光がやってくれた。
ちなみに萌花はもうすでに二歳を過ぎて、見た目には五歳くらいになり、遊ぶ時は和と陽と麗が一緒に遊んでくれている。やはりすっぽんぽんで集落中を走り回り家の屋根から屋根へと飛び移り、時折、「ガシャン!」「バリバリバリ!」と派手な破壊音をさせながら元気いっぱいだ。
それでいて、遊び疲れると光に抱きついて甘える。光はそれを拒むことなく受け入れ、穏やかに絵本を読み聞かせてやったりもする。決して和と陽に任せきりにはしない。二人ももう見た目はすっかり<成人>と言っていいそれになっているものの、実年齢で言えば九歳と八歳だからな。<パパニアン>としてはもう成体であっても<人間>としてはまだまだ子供だ。子供に子供を育てさせるわけにはいかないよ。
なお、順による<パパニアンとしての学び>については、萌花はもう少し先になるだろう。まださすがに幼いからな。順もそれを承知しているらしく、萌花が遊び疲れて光に甘えている時に、和と陽と麗を連れて密林に入っていくようにしてくれている。
単純な<知能>の点では必ずしも高いとは言い難い順だが、地球人の十代前半程度の知能は得ているから、もう十分に<人間としての生き方>についても理解してくれている。その上で彼には<パパニアンとしての生き方>を子供達に伝えてほしいと思ってるんだ。<パパニアンとしての能力>がその体に備わっているうちは、決して無駄にならないと思う。これが、人間として生きることでいずれ失われていくとしても、今はまだ、な。
だから<父親>としては立派にやってくれているよ。彼は。
ああそれから、玲とメイ(九ヶ月)も、しっかりと元気だ。錬慈に意識を向けてる俺にはその気配を感じ取ることはできないけどな。
こうしてルイーゼは、桜華と高仁を伴い、鉱物資源の調査に出ることになった。そのためにまた、ローバーを一台、組み上げる。彼女が好き勝手にうろついて調査できるように、<移動拠点仕様>として。
まあ要するに<キャンパー仕様>ということだな。荷台部分に居住スペースと簡易分析器を備え、物資についてはオートジャイロで順次届ける。
彼女の身の回りの世話と警護については桜華と高仁がいれば問題ない。
そんなこんなで組み上がったローバーに乗り込み、ルイーゼはシオとレックスに見送られてコーネリアス号を出発した。大した行動力だよ。
俺は、錬慈の世話をしながらタブレットでその様子を見ていただけだ。それまでの諸々の指示は、俺の承認が必要なもの以外は光がやってくれた。
ちなみに萌花はもうすでに二歳を過ぎて、見た目には五歳くらいになり、遊ぶ時は和と陽と麗が一緒に遊んでくれている。やはりすっぽんぽんで集落中を走り回り家の屋根から屋根へと飛び移り、時折、「ガシャン!」「バリバリバリ!」と派手な破壊音をさせながら元気いっぱいだ。
それでいて、遊び疲れると光に抱きついて甘える。光はそれを拒むことなく受け入れ、穏やかに絵本を読み聞かせてやったりもする。決して和と陽に任せきりにはしない。二人ももう見た目はすっかり<成人>と言っていいそれになっているものの、実年齢で言えば九歳と八歳だからな。<パパニアン>としてはもう成体であっても<人間>としてはまだまだ子供だ。子供に子供を育てさせるわけにはいかないよ。
なお、順による<パパニアンとしての学び>については、萌花はもう少し先になるだろう。まださすがに幼いからな。順もそれを承知しているらしく、萌花が遊び疲れて光に甘えている時に、和と陽と麗を連れて密林に入っていくようにしてくれている。
単純な<知能>の点では必ずしも高いとは言い難い順だが、地球人の十代前半程度の知能は得ているから、もう十分に<人間としての生き方>についても理解してくれている。その上で彼には<パパニアンとしての生き方>を子供達に伝えてほしいと思ってるんだ。<パパニアンとしての能力>がその体に備わっているうちは、決して無駄にならないと思う。これが、人間として生きることでいずれ失われていくとしても、今はまだ、な。
だから<父親>としては立派にやってくれているよ。彼は。
ああそれから、玲とメイ(九ヶ月)も、しっかりと元気だ。錬慈に意識を向けてる俺にはその気配を感じ取ることはできないけどな。
0
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
精霊のジレンマ
さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。
そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。
自分の存在とは何なんだ?
主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。
小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる