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第四世代

シモーヌ編 実際の行動

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俺と結婚し、妊娠までしたシモーヌに対しての複雑な感情からコーネリアス号で暮らすことにしたシオだったが、決して感情的になって俺達を攻撃しようとかいうつもりはなかったようだ。

元より、腕力的な方面ではシオ(シモーヌ)はザコだったからな。一応の訓練は積んでて護身術程度は身に付けてても、素人の俺とどっこいというレベルらしいし。

それでいて、アリアンに迎えに来てもらうまでの間、ビアンカや久利生くりうとは懐かし気に話してた。

ただしその一方で、俺に対してはほとんど話し掛けてくることはなかった。

でも、それでいい。人間の感情というヤツは、簡単には割り切れないからな。攻撃的に振る舞わないでいてくれるだけでも立派だよ。それに、彼女にとっての<言いたいこと>は、すでに告げているわけで。

『今のあなたの姿を見ているのは、つらい。頭では理解できても、心がそれを拒んでる。私はあなた達とは一緒にはいられない』

シオ自身も言ってたが、これが彼女の<本音>だろう。あくまで理性的であろうとして言葉を選んでくれただけだ。そんな彼女に俺も敬意を表さなければいけない。彼女がこの世界で生きていけるように最大限のサポートをさせてもらう。

人間は<嘘>を吐く。口先だけなら何とでも言える。大事なのは実際の行動だ。

だからこそシオは、

『言葉を選びつつ本音を吐露する』

という行動で示してくれたんだ。彼女の誠実さがそこには現れている。シモーヌをずっと見てきたことですでに分かっていることではあるものの、改めて実感する。

俺やシモーヌを罵ったところで何も問題は解決しない。俺達は彼女の人間性を知っているからたとえ感情的になったところでその心情も慮ることはできるが、まったく見ず知らずの人間に罵られたらいい気はしないな。見捨てたりはしなくても、さすがに丁寧に接しようという気にはなれないかもしれない。

相手を人間として敬うというのは、結局は自分自身に返ってくるんだ。それを蔑ろにするのは、敵じゃなかった人間を敵に回すこともある。

何も必要以上に愛想よくしたり相手に媚びたりする必要はないさ。あくまで相手を自分と同じ人間だと考えて接すればいいだけだ。

その点、今の彼女の精神状態では、俺やシモーヌに愛想よくできる方が普通じゃないだろうと俺も思う。

だから俺達もそれ以上は望まない。なにより、他者が自分の思い通りになってくれることを期待するのは傲慢だ。俺達が今のシオに愛想よくしてほしいとは思わないのと同じで、シオにとっても、俺とシモーヌが結婚したことは、

『自分の思い通りにならない』

というものの一つだ。

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