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第四世代

シモーヌ編 桜華

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とは言え、その『落ち着く』までにはそれなりにいろいろあるだろうとは思う。

俺のパートナーのシモーヌだって、言うほど平然としていられたわけじゃない。何より、自分の体云々以上に、すでに自分達が遭難してから二千年以上の時間が経ってたことに大きなショックを受けてたしな。

なお、メディカルチェックの結果、今回の彼女には大きな怪我もなく、細菌やウイルスについても十分に対処できる程度だったので、一安心だ。

だから本当に三十分ほどでカプセルから出られて、取り敢えずは<病院着>を着てもらい、ここで採れた葉を使った、鎮静効果のあるハーブティーを、桜華おうかが用意する。

「……初めての味……カモミールかと思ったけどやっぱりちょっと違う感じもあるね」

言いながら含んでくれた。得体のしれない相手が出す飲み物にすぐ手を付けるというのはどうか?という向きもあるだろうが、害するつもりがあるなら治療カプセルなんか使わないし、もうその時点で察してくれたというのもあるんだろう。

そして彼女は、桜華おうかに向かって、

「あなた、お名前は?」

と問うてきた。その口調も穏やかになってることで、安定してきてるのが見て取れる。

「私の名前は桜華おうか。本日ロールアウトしたばかりです。よろしくお願いいたします」

アリスシリーズである桜華おうかは、頭部のデザインは、

<なんとなく少女を思わせる簡素なそれ>

であるものの、口調は、アリゼ、テレジア、アリニ、モニカ、あんずらを運用したことで蓄積したデータを基に組まれたAIのそれなので、かなり人間に近い感じになっていると思う。

そんな桜華おうかに、シモーヌは、

「私が知ってるロボットよりも随分と簡素な感じだけど、何かのアトラクション用なのかな?」

改めて問い掛ける。そういう部分の記憶はあるんだな。それに対しても、

「私は、人をサポートするためのロボットです。現在、私どもが利用可能な技術では、今の私を製造するのが精一杯ということですね」

桜華おうかは軽く小首をかしげながら答えて見せた。『愛らしい』と言ってもいい仕草だと思う。キャラクター的にはモニカに一番近いだろうか。

「へえ……?」

シモーヌは少し興味を覚えたかのように声を上げた。もうこの辺りで彼女の学者としての好奇心が垣間見える。

そうしているところに、

「シモーヌ!」

名前を呼びながら入ってきたのは、メイフェアだった。アリアンがホビットMk-Ⅱを輸送した後にこちらに寄って、メンテナンスのためにセシリアと共に連れてきてくれたんだ。

と、メイフェアや続いて現れたセシリアの顔を見た途端、シモーヌはハッとなって。

「メイフェア!? セシリア!?」

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