未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

第四世代

玲編 配置転換

突然の、＜龍準りゅうじゅんの兄弟らしきマンティアン＞の襲撃。しかも明めいが狙われるとか、まったく、＜神様＞って奴はどうしてこう嫌がらせが好きなんだろうな。

とは言え、こっちもただ嫌がらせを甘んじて受けてるわけにはいかない。できることをするだけだ。

「エレクシア！　龍準りゅうじゅんはイレーネに任せる！　明めいの援護に向かってくれ！」

「承知しました」

指示を出しつつ、俺は光莉ひかり号に閉じこもる用意をする。

「すまんな。子供達を頼む」

「分かってる。任せて」

「うん」

シモーヌや光ひかりとそうやり取りをしながら光莉ひかり号のタラップを昇ると、それを見届けたイレーネがエレクシアの代わりに龍準りゅうじゅんの対応に向かう。

だがその間にも、すでに＜龍準りゅうじゅんの兄弟らしきマンティアン＞と明めい達の戦いが始まっていた。

「くそっ！　こいつ、龍準りゅうじゅんより強い？」

タブレットの画面に映し出されていたのは、玖きゅう号機と拾弐じゅうに号機を躱して明めいに迫るそいつの姿だった。五対一という状況にさえまったく怯むことのないそれを見た俺の頭にふとよぎった＜龍昇りゅうしょう＞という言葉を、こいつの仮称とする。

自分に迫る龍昇りゅうしょうを迎え撃つべく、明めいは改めて身構えた。

まずは鎌を繰り出すが、それはフェイントだった。上に意識を向けさせたところで踏み出した足にローキック。基本的にすべての攻撃が一撃必殺のそれであることの多いマンティアンでありながら、エレクシアから＜格闘術＞を学んだ刃じんの娘であり、刃じんから受け継いだそれを駆使、必殺の一撃を食らわせるための布石を打つのが明めいの戦い方だ。ローキックは、相手のフットワークを奪うためのそれである。

思いがけない攻撃に、龍昇りゅうしょうの体がわずかにバランスを崩す。しかし瞬間的に持ち直して地面を踏みしめ、彼女の脇腹を狙って蹴りを繰り出してくる。

早い。俺の目にはまったく捉えることができなかった。明めいの反応も上回っているようだ。が、その蹴り脚を鋭えいがやはり蹴りで弾いた。さらに龍昇りゅうしょうの顔面目掛けて玲れいの真っ直ぐ突き出す槍のような蹴り。

完璧な連携だった。

だが、顔面にモロに玲れいの蹴りを食らいながらも、龍昇りゅうしょうはほとんどぐらつくことさえなかった。マンティアンとしてみるとやや小柄な玲れいの攻撃は軽すぎるんだ。

マンティアンは、高密度な＜天然の装甲＞をその身にまとっている分、見た目よりは実は重い。それを持たない玲れいは、たとえ体格が同じでもウエイトの点で不利になる。普通のマンティアン相手じゃ元々厳しいんだよ。

けれどそこに、背後から玖きゅう号機の右フック。合わせて拾弐じゅうに号機のローキック。それらを同時に受けて、さすがに龍昇りゅうしょうの体がぐらついたのだった。