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第三世代

灯編 それができる人間

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あかりの子供だったら、私が育ててもいいよ』

ひかりのその言葉は、決してビアンカや久利生くりうを信用していないという意味じゃない。

『万が一の時には私もいる』

というだけの意味だ。何が起こるか分からないからな。今のビクキアテグ村の様子を見てればそんなことは有り得ないと思うものの、あかりが出戻ってくる可能性だってゼロじゃない。そういう場合でもきちんとフォローできる体制にあるから、安心していいって話だよ。

『結婚して家から出て行ったらもう赤の他人だ』

なんてのは、あんまりにも寂しいだろう? 俺だってそんなつもりはさらさらない。だからパルディアのげんがいなくなったことで出戻ってきたしんのことも受け入れたし、マンティアンのめいの息子のえいがここに住み着くことだって許した。

家族は何がどうなろうと家族だよ。俺はそう思ってる。

ただ、その一方で、パパニアンの母親から育児放棄されたまどかや、群れでイジメられて逃げ出したうららを、<家族>の下へ送り返そうとも思わない。家族はどうなろうと家族だが、

<一緒にいない方がいい家族>

ってのも現にあるのは分かってる。それを、

『家族だから一緒にいるべきだ!』

とは言わない。だが俺は、自分の家族を<一緒にいない方がいい家族>にはしない。そういうことなんだよ。

ほむらさいは、本来のパパニアンやレオンの生き方をしようとせず実家に居ついてしまっているものの、追い出すつもりは毛頭ない。二人はちゃんと自分のことは自分でしてるから、

『たまたま同じところに巣を構えただけ』

だしな。かつて、実家から出て行かない子供のことを、<コドオジ>とか<コドオバ>という言葉で揶揄したらしいが、自分のことを自分でしてるなら赤の他人が口出しすることじゃないだろう。まったくもって、

『他所様の子供をバカにするとか、お前はいったい何様だ?』

って話だ。何の権利があってそんなことをする? <言論の自由><表現の自由>は、無責任な戯言を垂れ流していい権利を保障してるわけじゃないぞ。

なにより、

『自由には責任が伴う』

ことを忘れるな。

ひかりあかりも、ちゃんとそれをわきまえてくれてる。理解してくれてる。

「家に着いたよ~ん♡」

ビクキアテグ村に帰還したあかりが、モニカを通じて報告してくれる。

「そうか。それはよかった」

俺は笑顔でそう応えた。ビクキアテグ村にいるあかりも、とても幸せそうだ。だから俺は何も心配していない。彼女は彼女の人生を自ら作り上げてくれている。それができる人間に育てることができたということが誇らしいよ。

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