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第三世代

ホビットMk-Ⅰ編 お手上げ

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「かわいい~♡」

タブレットの画面の中で何度も転ぶホビットMk-Ⅰの姿を見て、まどかが声を上げる。確かに、可愛らしい姿ではある。

ただしそれも、こうやって安全なところから見てるだけだからそう思うのであって、重量百キロ近いロボットが転がってくるというのは、生身の人間がその場にいると普通に危険だな。

ホビットMk-Ⅰと一緒に作業をしているドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMは、常時、周囲の状況をセンサーで捉えているからホビットMk-Ⅰが転がってきたところで見事にそれを躱してみせるが、人間はそうはいかないだろう。

なので、現状では危険すぎて人間の傍で運用するなんてできやしない。

しかし、転ぶ時のデータも蓄積されていくから、それを元に改良点を洗い出す。エレクシアが、AIが自力では補正できない部分について設定を書き直していく。

が、

『こちらを立てればあちらが立たず』

って感じで、修正すると別の部分のバランスが崩れ、やっぱり転ぶんだ。

「ですので、やはり機体側のバランス調整が必要ですね」

とは、エレクシアの弁。

でもまあ、そうは言ってもAiの設定と違って機体のバランス調整は物理的なそれが必要だから、まずはデータ収集だ。

と思ったら、

「あ……」

転んで起き上がったホビットMk-Ⅰの左腕が、ゴトンと音を立てて落ちた。いくら転がる形にして衝撃を逃がすようにしていたとはいえ、こう何度も転がってたらさすがにダメージが蓄積していたようで、関節部分が壊れてしまった。これは、関節を構成するパーツの強度不足も表している。何しろ、ドーベルマンMPMの関節に使われている素材の三十パーセント程度の強度しかないんだ。

現時点で確保できている原料を用いて最も高い強度を実現したものでこれである。

となるとやはり、転ばないようにするのが先だろうな。

そんなことを考えている間にもコーネリアス号の工作室で修理が終わり、ホビットMk-Ⅰは二時間ほどで現場に復帰した。壊れたのは、関節部分を繋ぎ留めておくためのピンが折れたことで、抜けたんだ。その程度だったからまだすぐに代わりのピンを作って修理できたが、こんな短期間で壊れてるんじゃ、話にならないな。

「やはり、末端部の重量が大きいことで計算以上のストレスがかかっているものと思われます。末端部の軽量化が望まれるでしょうか」

「そうなのか……」

エレクシアの説明に具体的な指示も出せない。

「私達も、ロボットについての知識は一般論レベルしかないです」

「そうだね。提供されたパーツを指示通りに組み上げてロボットを作り上げる程度のことはできても、一からとなると、完全に未知の世界だ」

ビアンカと久利生くりうもお手上げである。

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