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第三世代

新編 研究者として

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先日、ビアンカが『月経が始まりました』と明かしたことで、

「本当に、卵巣が機能してる……月経だ……」

モニカがビアンカから採取した<検体>を、フライトユニットを装着したドーベルマンMPMで空輸。コーネリアス号の検査装置で解析したデータをタブレットで見たシモーヌが、そう告げた。

さすがに声には出さなかったが、

『なんじゃそりゃぁ~~~~~っっ!!?』

と頭の中では叫んでしまうくらいの驚きの出来事だった。

「そうね……ヒト蜘蛛アラクネは、人間(地球人)にも見える部分の生殖機能を使うことなくヒト蜘蛛アラクネとしてすでに世代を重ねているからさらに退化が進んでるけど、ビアンカについては、アラニーズとしては第一世代だからか、ヒト蜘蛛アラクネよりも確かに各臓器がはっきりしてたのも事実だよね。それが、久利生くりうと毎日のように愛し合ったことで強い刺激を受けて、機能を取り戻してしまった可能性はある」

シモーヌが冷静にそう推論を述べてくれるが、素人でしかない俺にはやっぱり驚きだよ。

これにはひかりも、

「ということは、ビアンカは久利生くりうの子を妊娠できる可能性が出てきたってこと?」

と問い掛けるが、それに対してはシモーヌは、あくまで客観的事実として、

「それはまだ分からない。何しろ、アラニーズとしての彼女の遺伝子は、地球人とは八十パーセント程度しか共通する部分がないから。ほんの数パーセントしか違いのなかった連是れんぜひそかじんふくようとの間に子供ができたこと自体、かなり幸運に恵まれてのことだと思う。でも、今のところは、ビアンカが久利生くりうの子を妊娠できる可能性は、限りなくゼロに近いでしょうね。それこそ、<デザインベビー>のように遺伝子を徹底的に操作でもしない限り……」

そう説明した。

「……」

ぬか喜びに終わった的な重苦しい空気がその場を包む。が、シモーヌは続けて、

「でもそれも、もっと詳細に調べてみないと、最終的に断定することはできない。限りなくゼロに近いと言っても、それはあくまで現時点で分かっている情報を基にした理論上の話。そもそも理論上は有り得ないような生物が存在するこの惑星で、<地球人の思う常識>がどこまで通用するか?って話だよ。それをこれから調べる」

とも告げた。その上で、

「ビアンカ。だからあなたの体を徹底的に調べさせてほしい。あなたが望まないなら無理にとは言わないけど、私自身、研究者としてすごく興味がある」

回りくどい言い方をせずに真っ直ぐにそう語るシモーヌに、ビアンカも、

「もちろん! 私も自分の体に起こってることをちゃんと知りたい……!」

とのことで、徹底的な検査が行われる流れになったんだ。

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