上 下
1,272 / 2,588
第三世代

ビアンカ編 昼食

しおりを挟む
昼食は猪竜シシ肉のステーキと温野菜のサラダだ。

どうしても肉メインのメニューにはなるものの、死が隣り合わせの過酷な環境で生き抜くにはそういう感じになるか。

そもそも、ビアンカもルコアも未来みらいも肉食寄りの体だし。

久利生くりうだけは、三人のそれにはついていけないので野菜が多めではある。

ちなみにきたるは、先に池の魚を捕らえて済ませていた。

今日の昼食の担当は、モニカとテレジア。さすがロボットだけあって料理は完璧だ。

正直、人間(地球人)の社会における食肉用に品種改良された牛や豚に比べると味は格段に落ちるというのが事実ではあるものの、それを調理法や味付けで補ってくれてるのがありがたい。

<料理は科学実験>

とかつて誰かが言ったそうだが、それを二体は体現し、食感がよくなり旨味が増すように下準備の段階から手を尽くしてくれている。人間だと、さすがにそこまではやっていられないという手間であっても不満一つ漏らさずにやってくれるんだ。

肉を柔らかくする成分を含んだ野菜と一緒にスープに浸け込み、ちょうどいい状態になるまで常にセンサーで捉えつつ、他の仕込みを行うというのも、人間の場合にはよほどの腕を持つ料理人でなければ難しいだろうな。

ビアンカも、料理はできるものの、あくまで、

『普通の家庭料理ができる』

程度なので、モニカやテレジアが徹底的に下準備を行ってくれた具材を使って手早く料理するだけなんだ。これは、シモーヌも同じである。

最初のうちは<質のいまいちな肉>のままでも我慢できたが、人間(地球人)という奴は贅沢な生き物だからな。だんだんそれじゃ満足できなくなってストレスになっていくんだよ。それでも、『他に食うものがない』『食べなきゃ死ぬ』という状態だとまだ諦めもつくものの、生活そのものに余裕ができるとな。<食の楽しみ>は大きな意味を持ってくる。

そういう意味でも、モニカやテレジアやエレクシアやセシリアがいる俺達は恵まれてる。

コーネリアス号の乗員の中にも、いわゆる<職人>レベルの料理人がいて、食事を振る舞ってくれたそうだが、残念ながらシモーヌもビアンカも久利生くりうもメイガスもそこまでじゃないんだ。

非常に優秀な人材ではあるものの、決して万能じゃない。それが人間というものだな。

こうして家族揃って昼食を終え、寛ぐ。

未来みらいは食後の運動とばかりに川に飛び込んで猛然と泳ぐ。これも、俺達の目にはただふざけてるようにしか見えなかったりするものの、あくまで水中での体の使い方などを身に付けるための習性らしい。

この辺りも、分かってないと、

『何をふざけてるんだ!』

とか怒鳴ってしまいそうな部分ではある。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

精霊のジレンマ

さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。 そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。 自分の存在とは何なんだ? 主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。 小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...