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第三世代

ビアンカ編 カウンター

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『力によって他人を思うままに操れる』

というものは、それ自体がまさしく<既得権益>だ。俺も、人間(地球人)社会に生きていた頃には<既得権益>ってものを諸悪の根源と考え、

『既得権益をぶっ壊すことこそがこの世を良くする!』

などとも思っていて、そこで、<圧倒的な力>によって従来の仕組みをぶち壊し、既得権益を行使する者達を排除すれば<新しい世界>を作り出せるとも夢想していたものの、よくよく考えてみれば、従来の仕組みやら既得権益をぶち壊した後も人間は生きていかなきゃいけないわけで、そのための統治機構を作ればそこに収まる者が得るものこそが<新たな既得権益>なんだから、結局、

『既得権益を行使する者がすげ変わる』

だけにしか過ぎないわけだ。

しかも人間は、そうやって<既得権益>や<権力>を得ればついついそれに溺れてしまうという悪癖も持っている。

十年、二十年は、<綺麗な統治>が行えたとしても、五十年、百年となってくれば、たぶん、<元の木阿弥>だろうな。

なにしろ、既得権益こそがこの世の中を動かしてる世界で、『世の中とはそういうもの』という常識の中で育ってきた人間が<新たな社会>を作ったところで、どうしても従来のそれを踏襲する形になるだろうしな。

そういう、『既得権益こそが世の中を動かしてる世界で育った』者が限られているここですら、<社会>というものが成立していく中で既得権益が生まれ、それに溺れていく者も出る可能性は高い。

だから、それを監視し抑制する<カウンター>となる存在が必要になるわけで、人間(地球人)社会では<マスコミ>などがその役目を負っていたはずなんだ。

が、そのマスコミ自体が大きな力を得て巨大化していくに伴い自ら既得権益となって、自分達の利益ばかりを優先するようになった上に、

『既得権益や権力を監視し抑制する』

という本来の役目を拡大解釈してそれを<正義>と盲信し、

『自分達のしていることは正義なんだから何をしてもいい』

的な振る舞いをするようになり、結果、<マスゴミ>などと揶揄されるようになっていったのは、万人の知るところだろう。

しかも、自省しないことで自制も満足にできなくなっていったという。

で、そんなマスコミの有様も、

『正義を掲げれば何をやってもいい!』

みたいな考えの人間を育てる後押しをしたんだろうな。

本来、

<『正義を掲げれば何をやってもいい!』と考えて暴走する権力を監視し抑制するカウンター>

だったはずのマスコミが、『正義を掲げれば何をやってもいい!』と考えるようになるんだから、本当に『やれやれ』って話だよな。

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