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第三世代

モニカとハートマン編 まったく脅威にはならない

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一体、どこに隠れていたのか、牙斬がざんはサーモバリック爆弾の影響で焼け焦げた草原に突然現れた。穴にでも潜ってたということか。

煤にまみれてすっかり黒くなっているが、それが余計に、鱗に覆われた体を、不気味なモノに見せていた。正直、こちらの方がいかにもって感じで、らしいな。

そしてためらうことなく、ビクキアテグ村目掛けて走る。

そんな牙斬がざんを、エレクシアが迎える。

すると牙斬がざんは、何かを察したのか立ち止まり体を低く身構えた。エレクシアのただならぬ雰囲気に警戒したのかもしれない。

それでも、怯んでいるような気配は全くない。むしろ、牙を剥き、燃えるような目でエレクシアを睨み付ける。

もっともそんなことにエレクシアも怯むわけがなく、彼女もまた、牙斬がざん目掛けて走り出した。

見る間に双方の距離はつまり、

「ガアッッ!!」

短い咆哮とともに、牙斬がざんはエレクシアに飛び掛かる。

「……」

しかしエレクシアはあくまで冷静にスッと手を前に出し、牙斬がざんがそれに反応すると、ドンッと地面を蹴って自身の体を弾丸のように打ち出し、差し出した手を牙斬がざんの首に絡ませて、引き倒すように地面へと叩きつけた。

もう、その動きだけで、ハートマンらドライツェンとは全く次元が違うことが分かってしまう。速度も、動きの正確さも。

しかもこの時、実を言うと、エレクシアは<戦闘モード>を起動させてはいなかった。それに準じた<危機対応モード>で稼働していたんだ。

これは決して牙斬を侮ったわけではなく、ロボットであるメイトギアの仕様上やむを得ないものだった。

と言うのも、今回、本来の警護対象である俺自身が直接危険に曝されているわけじゃないので、戦闘モードに入れないんだ。

それでも、<危機対応モード>であっても発揮できる出力そのものは<戦闘モード>とほぼ同等であり、確か以前にも言ったと思うが 、攻撃者が人間だった場合、<危機対応モード>では傷付けることはできないものの、それはあくまで相手が人間だった場合に限られ、人間以外の猛獣などが相手の場合には、その限りじゃないんだ。なので、牙斬がざんが相手であれば、実質、戦闘モードと変わらない。

だから、このまま牙斬がざんを地面に押し付けて拘束。少々強引ではあるものの麻酔を口に捻じ込んで経口投与。眠らせて、ペイロードを増やしたワイバーン三型で輸送。少なくとも二千キロは離れたところで解放するというのが、俺達の計画だった。

ここまであれだけ大掛かりな<作戦>を決行したというのに、エレクシアが対応した途端にこれだ。

本来の地球の技術力であれば、牙斬がざんさえまったく脅威にはならないということだな。

正直、久利生くりうやビアンカに苦労させたことを申し訳なく思うよ。

そして何より、重傷を負ったルコアと、巻き込まれた動物達にどう詫びればいいものか……

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