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第三世代

モニカとハートマン編 相棒と伴侶

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『人間を強く憎んでいる<怪物>を倒すたびに、さらに強力な<怪物>が生まれる』

<白いルプシアン>の詳細が判明することで、その前提が揺らぐのを俺は感じていた。

『倒しても倒さなくても次々と強力な<怪物>が現れるんだとしたら、俺達はいずれ、根絶やしにされるんじゃないのか……?』

なんて風にも思ってしまう。

しかし、そんな俺に、タブレット越しにエレクシアは言った。

「マスター。よくない状況を目の前にすると人間は物事を悪い方へと考えてしまいがちな生き物ではありますが、それは必ずしも正しくはありません。今回の事例についても、『人間を強く憎んでいる<怪物>を倒すたびに、さらに強力な<怪物>が生まれる』という前提を完全に覆すものであるとは限らないのです。

なぜならば、夷嶽いがくが<がくを倒したことで現れたさらに強力な怪物>ではない可能性があるからです。つまり、夷嶽いがくはあくまでも<がくの変異種>でしかなく、今回現れた<白いルプシアン>こそが<がくを倒したことで現れたさらに強力な怪物>である可能性も考えられます。

もちろん、この仮説が正しいとは限りません。しかし可能性として有り得ることもまた事実のはずです」

淡々と、しかしきっぱりとそう言い切るエレクシアに、俺は自分が落ち着いてくるのを感じていた。すると、隣でやり取りを聞いていたシモーヌが、

「さすがね。私よりもエレクシアの方が錬是れんぜのことを理解してるって思い知らされる……」

少し悪戯っぽい笑みを浮かべながら言った。俺の動揺に的確に対処するエレクシアに、ちょっとばかり嫉妬もしているようだ。でも同時に、自分よりもずっと付き合いが長いという事実も理解している。だから、感情的になるわけでもない。

まったく。素晴らしい伴侶だよ。俺にはもったいないくらいだ。

「そうだな。エレクシアは最高の<相棒>だよ」

エレクシアは<相棒>、シモーヌは<伴侶>。それぞれ立場の違う、俺にとっての大切な存在だ。どちらがどうということじゃない。

それを改めて実感しつつ、今回の<白いルプシアン>こそが<がくの後継>だとするならば、それに則した対応をするだけだと気持ちを切り替える。

もっとも、久利生くりうはそもそもそのつもりだったらしいけどな。実際にきょうみずちがくと関わってきたわけじゃないからこそ、先入観なく捉えることができるわけで。

事実、データを解析すればするほど、<白いルプシアン>の怪物ぶりが判明してくる。

なにしろ、夷嶽いがくはあの巨体を構成するだけの筋肉を持ち、それが発生させる電気があればこその<電磁バースト>であり、ゆえに強力な電磁パルス攻撃が行えていたはずが、ほぼ人間(地球人)と変わらないサイズの体で同様のことができるというだけで、こいつの化け物ぶりが分かるというものだろう。

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