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第三世代
当編 偶然
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<当の嫁(仮)>は、姿は完全にクロコディアではあるものの、その頭の中身は、まぎれもなく人間のそれだ。
シモーヌもビアンカも久利生も彼女の姿を見ても何も言わなかったから、コーネリアス号の乗員とはまったく似ても似つかない姿なんだろう。
だが、俺は、<素人>であるがゆえに逆に無茶苦茶な発想をしてしまった。
「外見はクロコディアだが、脳はコーネリアス号の乗員の誰かかもしれない」
と。
「……! そんな……いや、理論上は有り得ないことでもない……?」
シモーヌも戸惑いながらも呟く。
そうだ。<キメラ化>が起こるのは体だけじゃない。脳と体という組み合わせでも起こるということがこれで判明した。
<当の嫁(仮)>の頭の中身がコーネリアス号の乗員であるという確証までは今の時点ではないものの、少なくとも、
『ドローンによって自分が監視されていたことを理解し、人工呼吸を行い、地球人に通じる言語を話し、今の赤ん坊に医学的な対処が必要だということを理解できる』
程度の知能がある何者かであることだけは間違いないんだ。だとしたら、見て見ぬフリはできない。
『当の子を救え!』
俺の命令を受けたエレクシアは、僅か三分足らずで彼女のところに駆け付けた。
「!?」
突然現れたエレクシアが彼女の前に立ったことに当が警戒する。ここで育った來や來の弟の晃はエレクシアのことも知っているものの、來の子でこれまでほとんど干渉してこなかった当は、当然、知らない。
すると<当の嫁(仮)>は彼に向けて手をかざして制し、川岸に立つエレクシアに向かって歩き出し、
「私は、惑星探査チーム<コーネリアス>所属、メイガス・ドルセント。見掛けないタイプだけど、メイトギア、よね?」
やはりやや不鮮明な発声ながらそう話し掛けてきた。
って、ええ!?
「メイガス・ドルセント!?」
「メイガス!?」
今度は俺とシモーヌが声を上げてしまった。
<メイガス・ドルセント>
コーネリアス号の乗員で、そして、
「ルコアの母親、なのか……?」
なんだこの偶然は!?
本当に誰か仕組んだ者でもいるんじゃないか!?
と、驚いてしまったんだが、確率的にはなるほど有り得ないことでもない。たぶん、今この瞬間にも、コーネリアス号の乗員の形質を持った新しい生物が誕生してるだろう。だとしたら、他にも<メイガス・ドルセント>がこの惑星上のどこかで生まれている可能性はある。
実際、外見だけならシモーヌのそれを持った<グンタイ竜の女王>や、クラレスのそれを持った<蛟>という存在がかつていたしな。
その<何人ものメイガス・ドルセント>のうちの一人が、たまたま俺達の近くに現れたということでしかないんだ。
シモーヌもビアンカも久利生も彼女の姿を見ても何も言わなかったから、コーネリアス号の乗員とはまったく似ても似つかない姿なんだろう。
だが、俺は、<素人>であるがゆえに逆に無茶苦茶な発想をしてしまった。
「外見はクロコディアだが、脳はコーネリアス号の乗員の誰かかもしれない」
と。
「……! そんな……いや、理論上は有り得ないことでもない……?」
シモーヌも戸惑いながらも呟く。
そうだ。<キメラ化>が起こるのは体だけじゃない。脳と体という組み合わせでも起こるということがこれで判明した。
<当の嫁(仮)>の頭の中身がコーネリアス号の乗員であるという確証までは今の時点ではないものの、少なくとも、
『ドローンによって自分が監視されていたことを理解し、人工呼吸を行い、地球人に通じる言語を話し、今の赤ん坊に医学的な対処が必要だということを理解できる』
程度の知能がある何者かであることだけは間違いないんだ。だとしたら、見て見ぬフリはできない。
『当の子を救え!』
俺の命令を受けたエレクシアは、僅か三分足らずで彼女のところに駆け付けた。
「!?」
突然現れたエレクシアが彼女の前に立ったことに当が警戒する。ここで育った來や來の弟の晃はエレクシアのことも知っているものの、來の子でこれまでほとんど干渉してこなかった当は、当然、知らない。
すると<当の嫁(仮)>は彼に向けて手をかざして制し、川岸に立つエレクシアに向かって歩き出し、
「私は、惑星探査チーム<コーネリアス>所属、メイガス・ドルセント。見掛けないタイプだけど、メイトギア、よね?」
やはりやや不鮮明な発声ながらそう話し掛けてきた。
って、ええ!?
「メイガス・ドルセント!?」
「メイガス!?」
今度は俺とシモーヌが声を上げてしまった。
<メイガス・ドルセント>
コーネリアス号の乗員で、そして、
「ルコアの母親、なのか……?」
なんだこの偶然は!?
本当に誰か仕組んだ者でもいるんじゃないか!?
と、驚いてしまったんだが、確率的にはなるほど有り得ないことでもない。たぶん、今この瞬間にも、コーネリアス号の乗員の形質を持った新しい生物が誕生してるだろう。だとしたら、他にも<メイガス・ドルセント>がこの惑星上のどこかで生まれている可能性はある。
実際、外見だけならシモーヌのそれを持った<グンタイ竜の女王>や、クラレスのそれを持った<蛟>という存在がかつていたしな。
その<何人ものメイガス・ドルセント>のうちの一人が、たまたま俺達の近くに現れたということでしかないんだ。
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