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第三世代

ルコア編 誰にとっても

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俺は決して自分が理想郷を築けるなんて思っちゃいないが、だからといって努力もせずに楽な方に逃げるつもりもない。

ルコアのことも、たぶん、一筋縄ではいかないだろう。毎日毎時、彼女のことを見守り、彼女の表情を見て、仕草を見て、細かな試行錯誤を繰り返して、そうしてようやく正解にたどり着くだろうな。

致命的な失敗さえなければゲームのように<ゲームオーバー>とはならないだろうが、厄介な状態になってからのリカバリを目指すことになるから、それだけ、時間も手間も神経も費やすことになるだろう。

子供がいわゆる<不良>になってから立ち直りを目指すようなものか。

だったら最初から時間も手間も掛けて不良にならないようにした方が結果として楽ってのと同じだろうな。

ましてや親が楽をしたいがために手を抜いて結果として子供が曲がってしまったのなら、それこそ何をしてるのか分からんだろう。

だから俺は手を抜かない。それに、エレクシア達メイトギアという強い味方もいる。そのノウハウを、アリスシリーズが引き継いでくれる。人間の親がついつい面倒がってサボってしまいがちな部分をフォローしてくれる。

とことんまで子供に付き添ってその言葉に耳を傾け、子供が理解してくれるまでとことん説明してくれるんだ。

それだけでもかなり違う。

ルコアのことはさすがに前例がないからひたすら試行錯誤の連続になるだろうが、彼女がもし感情的になったとしても、メイトギアは人間のようにそれでキレたりはしない。それによって未成年者の犯罪も劇的に減ったそうだ。

それでもゼロにはならないそうだから、人間ってのは本当に業の深い生き物だってことなんだろう。

が、いいさ。俺はもう、人間を否定するつもりも、人間に絶望する気もない。それと同時に、ルコアが人間ならではの、鬱傾向や自暴自棄といったものを見せたとしても、彼女を見捨てるつもりもない。

責任者である俺がその姿勢を明確にすることで、バックアップを確約することで、直接彼女に接してくれているビアンカも、安心して全神経をルコアに傾注できる。

そんな<想い>が伝わったとか都合のいい話ではないだろうが、ルコアが、

「お腹すいた……」

ポツリと呟いた。

とても子供っぽい、あどけない言い方。

けれど、それは、ビアンカにとっても待ちかねていた言葉だっただろう。

「あ、うん。スープならすぐに用意できるよ。食べる?」

この時のために、モニカに用意してもらっていた。胃に優しい、消化のよい軽めのスープを。

人間とロボットが連携し、今はまだ不安の真っ只中にいるであろうこの子を守るんだ。

子供が安心できないような社会など、誰にとっても生き易くなどないだろうからな。

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