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第三世代
晴編 危機対応モード
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また話が逸れてしまったが、まあそれくらい、メイフェアを相手にした晴にいいところはなかった。
顎に手の甲が当たっただけで体が崩れ落ちた晴だったものの、膝を着く寸前に意識を取り戻し、地面を蹴った。頭から彼女の腹に突っ込むために。
が、鈍器のような頭が彼女の腹を捉えるかと見えた瞬間、そこに彼女の姿はなかった。つい、と足捌きだけで体勢を入れ替え、晴の頭突きを躱したのだ。
彼からしたら、瞬間移動したかのようにも見えただろう。
全力の頭突きが空振りして、地面に手を着く。尻を突き出す形になった晴に、メイフェアの蹴り。
尻を思い切り蹴飛ばされたのだ。いや、『思い切り』じゃないな。メイフェアからすれば相当手加減はしている。なのに、
「ギッ!?」
わけも分からず顔から地面につんのめり、情けない声が出る。
まあ、父親の角でさえ、メイフェアの前では赤ん坊と同じだ。マンティアンとしては規格外の強さを誇る龍然でさえ、エレクシアは元よりメイフェアやイレーネにも歯が立たないだろう。まあ、一般仕様のセシリアなら勝てるだろうが。
とにかく、晴に勝ち目はないんだ。
後は早々に力の差を思い知って逃げてくれることを祈る。
人間の場合、こうやって絶望的な差を見せ付けられると心が折れてやる気を失ってしまうこともあるだろうが、野生に生きる者達はそんなことになればそのまま命に係わるから、いくら打ちのめされようと心が折れたりすることはまずない。
『勝てない相手とは戦わない』
と学ぶだけだ。
俺はそれでいいと思ってる。
後は、なるべく怪我をさせないでいてくれればいい。
その点、メイフェアはしっかりとわきまえてくれてるからいちいちお願いする必要もない。
ないんだが、念の為、
「悪いな、メイフェア。なるべく怪我をさせないように、力の差を思い知らせてやってくれ」
と告げる。
「承知いたしました」
タブレットを通じて、彼女が応えてくれる。
現在の彼女は、<危機対応モード(緊急対応モードとも)>という、戦闘モードに準じた、通常モードに掛けられているリミッターを外した状態にある。戦闘モードとの違いは、相手を容赦なく殺傷できるかどうかの違いだな。もちろん戦闘モードの方が<殺傷力>を発揮する形になる。なお、この場合の<殺傷>は、相手が人間の場合にという意味であり、人間以外であれば危機対応モードであっても殺傷できてしまう。
もっとも、そこまで用いなくてもたぶん、通常モードでさえ上手くやれば晴を撃退するくらいはできると思うが、<力の差>を思い知らせるために敢えて、な。
さすがに尻を蹴られた程度では力の差は実感できなかったらしく、晴は素早く体勢を立て直して、カマを構えて奔る。これだけでも、俺が相手なら十分だったんだろうが、メイフェアが相手では話にならない。
顎に手の甲が当たっただけで体が崩れ落ちた晴だったものの、膝を着く寸前に意識を取り戻し、地面を蹴った。頭から彼女の腹に突っ込むために。
が、鈍器のような頭が彼女の腹を捉えるかと見えた瞬間、そこに彼女の姿はなかった。つい、と足捌きだけで体勢を入れ替え、晴の頭突きを躱したのだ。
彼からしたら、瞬間移動したかのようにも見えただろう。
全力の頭突きが空振りして、地面に手を着く。尻を突き出す形になった晴に、メイフェアの蹴り。
尻を思い切り蹴飛ばされたのだ。いや、『思い切り』じゃないな。メイフェアからすれば相当手加減はしている。なのに、
「ギッ!?」
わけも分からず顔から地面につんのめり、情けない声が出る。
まあ、父親の角でさえ、メイフェアの前では赤ん坊と同じだ。マンティアンとしては規格外の強さを誇る龍然でさえ、エレクシアは元よりメイフェアやイレーネにも歯が立たないだろう。まあ、一般仕様のセシリアなら勝てるだろうが。
とにかく、晴に勝ち目はないんだ。
後は早々に力の差を思い知って逃げてくれることを祈る。
人間の場合、こうやって絶望的な差を見せ付けられると心が折れてやる気を失ってしまうこともあるだろうが、野生に生きる者達はそんなことになればそのまま命に係わるから、いくら打ちのめされようと心が折れたりすることはまずない。
『勝てない相手とは戦わない』
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後は、なるべく怪我をさせないでいてくれればいい。
その点、メイフェアはしっかりとわきまえてくれてるからいちいちお願いする必要もない。
ないんだが、念の為、
「悪いな、メイフェア。なるべく怪我をさせないように、力の差を思い知らせてやってくれ」
と告げる。
「承知いたしました」
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もっとも、そこまで用いなくてもたぶん、通常モードでさえ上手くやれば晴を撃退するくらいはできると思うが、<力の差>を思い知らせるために敢えて、な。
さすがに尻を蹴られた程度では力の差は実感できなかったらしく、晴は素早く体勢を立て直して、カマを構えて奔る。これだけでも、俺が相手なら十分だったんだろうが、メイフェアが相手では話にならない。
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