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第三世代

鋭編 波長が合うか

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新暦〇〇三十一年四月二十三日



『愛情を持って接すれば動物も分かってくれる』

とは、動物好きがよく口にする言葉ではあるが、俺はそれでは言葉が足りないと思ってる。

ここで言う<愛情>とは、

『相手の習性をよく理解し、それに合わせた丁寧な対処を行うことを忘れない。自分の勝手な思い込みを押し付けようとしない。相手は自分とは違うという事実から目を背けない』

ことを肝に銘じる度量を持つという意味だと思うんだよ。

で、『分かってもらう』んじゃなく、こちらが理解し、覚悟するんだ。

万が一のこともあるってのをな。

それができなきゃ、猛獣となんて関わらない方がいい。

じゅんが、えいしんのことを警戒して近付こうとしないとか、ビアンカや久利生くりうのことを警戒して家から出ようとしなかったこととかを、<臆病者>と言って馬鹿にするやつもいるだろう。

だがそんなのは、じゅんのことをよく知らない人間の戯言だとも思ってる。あいつはあいつなりに、家族を守ろうとして頑張ってる。俺はそれを知ってる。

あいつは、勇気と無謀をはき違えてない。

確かに、ここに来たばかりの頃にはひかりを守ろうとしてボクサー竜ボクサーの群れに突っ込んでいって大怪我をしたりという失敗もあったが、それを経験したからこそ自分にできることできないことをわきまえてくれたと思うんだ。

じゅんじゅんなりに努力してるよ。そしてひかりもそれを分かってるからあいつを愛してるんだ。

地球人の感性とは合わないからって馬鹿にするのは傲慢だとしか思わない。

で、えいれいのことも、まあ本人達の距離感をこちらが理解するべきだと思う。

今のところは特に問題もないし。

にしても、実に奇妙な光景がただただ毎日淡々と繰り返されるだけなんだよな。

すっぽんぽんだったり、オムツ一丁だったりする幼女が、つのを生やした、見た目には艶のある緑色っぽい色の<鬼>みたいのと無言で見詰め合ってるという。

いやもう、盛り上がりもないにもないひたすらシュールな光景。

こりゃ、もはや根競べだな。えいれいのということじゃなくて、二人とそれを見守ってる俺達のという。

一ヶ月経ってもその調子だ。

『って、進展しないんか~い!!』

突っ込まずにはいられない。

それでも、えいれいにとってはそれ自体がコミュニケーションなのかもしれない。俺達地球人には理解できないだけで。

お互いの波長が合うかどうかを確かめてるとか?

これがどっちかが拒むようではそこでもうおしまいということだろうか。

そう考えてみると、一分ほど見詰め合った後に、ふい、と視線を逸らすのも、どちらからってわけでもなくほとんど同時に目線を逸らすようになってる気が。

もしかして、波長は合ってる……?

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