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第三世代
保編 茉穂
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保は、純粋にパパニアンとしては決して目立つ存在ではないが、だからと言って彼を意識する雌がいないわけではなかった。
誉の群れと縄張りを接する群れに一人、子供の頃から仲良くしてくれた雌がいる。
名前を仮に<茉穂>とする。俺の親族に当たる場合以外はなるべく名前は付けない方向でとは思いつつ、さすがに頻繁に関わってくるのだと逆に不便だからな。
今回はさらに時間を遡って、保と翠と茉穂がまだ子供だった頃の話をするとしよう。
もうすでに十五年ほど前になるが、保もパパニアンの子供らしく、縄張りを接した他の群れの子供達と遊ぶことがあった。
とは言え、保は、翠と一緒に俺達の家の方に来て、レッド達と遊ぶことが多かったけどな。
それでも、たまには他の群れの子供達と遊ぶこともあったんだ。
そんな子供達の中に、茉穂はいた。
茉穂も、やや大人しい感じの子で、それでいて、その群れのボスの子の中でもヒエラルキーの面でかなり上の存在だったこともあってか、イジメられたりはしなかったようだな。そのおかげだろう。性格的には穏やかに育ったようだ。
だから余計に、保とは気が合うらしく、翠とも一緒に追いかけっこなどをして遊んでいた。
が、誉達がやっていたものと比べると随分と可愛いものだったけどな。
で、一通り遊んだら毛繕いするんだが、翠が保の毛繕いを譲らないもんだから、茉穂は仕方なくって感じで翠の毛繕いをしてた。しかも、それが終わると今度は保が翠の毛繕いを。
そこはせめて茉穂にしてあげた方がいいんじゃないかと思いつつ、俺としてはさすがに口出しもできず……
人間の場合は言葉で、
『茉穂ちゃんにさせてあげた方がいいよ』
と言ってやれるにしても、パパニアンではそれも通じず。
うむ。ここまで触れた限りだと、翠の印象がかなり悪いな。
保に毛繕いしてもらったのも、茉穂を押し退けて、
『お兄ちゃん! 私にもして!』
って感じで迫ったからだしな。
う~む……
いや、翠も悪い子じゃないんだよ? 別にイジメたりとかはしないし。自分が採った果実を、自分より小さい子に分けてあげてたりするからな。茉穂にも果実をあげてたし。
ただ、お兄ちゃんが好きすぎて、保絡みになると周りが見えてないと言うか……
しかも、茉穂もグイグイ前に出るタイプじゃないから、翠に強く出られると彼女を押し退けてまでっていうのがなくてな。
それでも、保のことが好きなのか、他の子供達のところへは行かなかった。
なのに、大きくなるにつれ遊ぶ回数がさらに減り、それこそ勝手に縄張りに入ってくると衝突になるような年齢になってしまうと、一緒には遊ばなくなっていったんだよな。
誉の群れと縄張りを接する群れに一人、子供の頃から仲良くしてくれた雌がいる。
名前を仮に<茉穂>とする。俺の親族に当たる場合以外はなるべく名前は付けない方向でとは思いつつ、さすがに頻繁に関わってくるのだと逆に不便だからな。
今回はさらに時間を遡って、保と翠と茉穂がまだ子供だった頃の話をするとしよう。
もうすでに十五年ほど前になるが、保もパパニアンの子供らしく、縄張りを接した他の群れの子供達と遊ぶことがあった。
とは言え、保は、翠と一緒に俺達の家の方に来て、レッド達と遊ぶことが多かったけどな。
それでも、たまには他の群れの子供達と遊ぶこともあったんだ。
そんな子供達の中に、茉穂はいた。
茉穂も、やや大人しい感じの子で、それでいて、その群れのボスの子の中でもヒエラルキーの面でかなり上の存在だったこともあってか、イジメられたりはしなかったようだな。そのおかげだろう。性格的には穏やかに育ったようだ。
だから余計に、保とは気が合うらしく、翠とも一緒に追いかけっこなどをして遊んでいた。
が、誉達がやっていたものと比べると随分と可愛いものだったけどな。
で、一通り遊んだら毛繕いするんだが、翠が保の毛繕いを譲らないもんだから、茉穂は仕方なくって感じで翠の毛繕いをしてた。しかも、それが終わると今度は保が翠の毛繕いを。
そこはせめて茉穂にしてあげた方がいいんじゃないかと思いつつ、俺としてはさすがに口出しもできず……
人間の場合は言葉で、
『茉穂ちゃんにさせてあげた方がいいよ』
と言ってやれるにしても、パパニアンではそれも通じず。
うむ。ここまで触れた限りだと、翠の印象がかなり悪いな。
保に毛繕いしてもらったのも、茉穂を押し退けて、
『お兄ちゃん! 私にもして!』
って感じで迫ったからだしな。
う~む……
いや、翠も悪い子じゃないんだよ? 別にイジメたりとかはしないし。自分が採った果実を、自分より小さい子に分けてあげてたりするからな。茉穂にも果実をあげてたし。
ただ、お兄ちゃんが好きすぎて、保絡みになると周りが見えてないと言うか……
しかも、茉穂もグイグイ前に出るタイプじゃないから、翠に強く出られると彼女を押し退けてまでっていうのがなくてな。
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