899 / 2,607
新世代
來編 AIで感情は再現できるか?
しおりを挟む
<自我>や<感情>が、単なる反射や反応ではないことは、すでに分かってる。
確かにある意味では反射や反応がそれを励起するきっかけになっているのは事実でも、合理的でない行動を、合理的でないと理解しつつ取ってしまうことがあるのが、感情を持つ人間という生き物だ。
一方、<感情(のようなもの)>が装備されたメイフェアは、俺が見る限りではなるほど感情があるとしか思えない様子を見せるが、エレクシアに言わせると、
「メイフェアのそれは、私のメインフレームでは完全に解析できてしまいますので、これは<感情>と呼ぶべきものではないと判断します。
少なくとも、人間が持つそれとは明らかに別種のものです」
とのことだった。
人間同士がそもそも他人の感情を完全には解析できないのに、それを再現できるとか、思い上がりもいいところだろう。
他人の感情を完全に解析できるのであれば、感情に基づくトラブルの全ては容易に解消できるはずだ。
つまり、AI排斥、ロボット排斥を訴えるテロリストの感情を解析して対処できるはずにも拘らず、実際にはできてないしな。
これはすなわち、人間が人間の感情を完全には解析できてない何よりの証拠。
人間の感情を完全に解析できるのなら、身近なところでも、つまらない嫌がらせや、嘲りや、蔑みといったものをせずにいられない感情を制御し、なくすことができないとおかしいという話だ。
浮気とか不倫とかもなくせるだろうし、ストーカーもいなくなるだろうし、それどころか、相手の感情をコントロールして自分を好きにさせることだってできてしまうかもな。
それができてないっていうことは、再現することもできないってことだ。
科学ってのは、<再現性>が大事なんだろう?
『こうすれば必ずこうなる』
ってのが科学なんだろう?
じゃあ、嫌がらせもイジメも浮気も不倫もストーカーもテロもなくせないということは、『再現性が確保できてない』ってことじゃないのか?
それで、
『AIで感情は再現できる』
なんてのは、ただの夢物語に過ぎんだろう。
もし、AIで感情を完全に再現できるのであれば、
『人間は、<人間という種>を超越し、次の段階へと進める』
とさえ言われている。
今の人間に求められてるのは、
『自分に理解できないものであっても現にそこに存在するのであれば、<そこに存在するという現実>を受け止める』
ことだとエレクシアは説明してくれた。
これは<エレクシアの意見>じゃなく、科学者やら哲学者やらをはじめとした、
『人間とは何か?』
を求め続けている者達の共通の認識なんだそうだ。
それでも、人間は自分が認めたくない現実は『認めたくない』『見たくない』と思ってしまいがちな生き物だ。
それだけでも、
『<感情>というものを完全には解析できてない』
という何よりの証拠だな。
確かにある意味では反射や反応がそれを励起するきっかけになっているのは事実でも、合理的でない行動を、合理的でないと理解しつつ取ってしまうことがあるのが、感情を持つ人間という生き物だ。
一方、<感情(のようなもの)>が装備されたメイフェアは、俺が見る限りではなるほど感情があるとしか思えない様子を見せるが、エレクシアに言わせると、
「メイフェアのそれは、私のメインフレームでは完全に解析できてしまいますので、これは<感情>と呼ぶべきものではないと判断します。
少なくとも、人間が持つそれとは明らかに別種のものです」
とのことだった。
人間同士がそもそも他人の感情を完全には解析できないのに、それを再現できるとか、思い上がりもいいところだろう。
他人の感情を完全に解析できるのであれば、感情に基づくトラブルの全ては容易に解消できるはずだ。
つまり、AI排斥、ロボット排斥を訴えるテロリストの感情を解析して対処できるはずにも拘らず、実際にはできてないしな。
これはすなわち、人間が人間の感情を完全には解析できてない何よりの証拠。
人間の感情を完全に解析できるのなら、身近なところでも、つまらない嫌がらせや、嘲りや、蔑みといったものをせずにいられない感情を制御し、なくすことができないとおかしいという話だ。
浮気とか不倫とかもなくせるだろうし、ストーカーもいなくなるだろうし、それどころか、相手の感情をコントロールして自分を好きにさせることだってできてしまうかもな。
それができてないっていうことは、再現することもできないってことだ。
科学ってのは、<再現性>が大事なんだろう?
『こうすれば必ずこうなる』
ってのが科学なんだろう?
じゃあ、嫌がらせもイジメも浮気も不倫もストーカーもテロもなくせないということは、『再現性が確保できてない』ってことじゃないのか?
それで、
『AIで感情は再現できる』
なんてのは、ただの夢物語に過ぎんだろう。
もし、AIで感情を完全に再現できるのであれば、
『人間は、<人間という種>を超越し、次の段階へと進める』
とさえ言われている。
今の人間に求められてるのは、
『自分に理解できないものであっても現にそこに存在するのであれば、<そこに存在するという現実>を受け止める』
ことだとエレクシアは説明してくれた。
これは<エレクシアの意見>じゃなく、科学者やら哲学者やらをはじめとした、
『人間とは何か?』
を求め続けている者達の共通の認識なんだそうだ。
それでも、人間は自分が認めたくない現実は『認めたくない』『見たくない』と思ってしまいがちな生き物だ。
それだけでも、
『<感情>というものを完全には解析できてない』
という何よりの証拠だな。
0
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる