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新世代

翔編 とてつもない才能

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新暦〇〇三十一年十一月六日。



なんてこともありつつ、アリゼドラゼ村、アリニドラニ村の開発は続く。

その一方で、りょうしょう達の暮らしも続く。

鈴良れいらはもう空を飛ぶこともままならなくなってきたらしく、いよいよ出産が近いと思われた。

と同時に、しょうにもまた妊娠の兆候が。今度こそ上手くいってほしいと思う。

が、<好事魔多し>ってやつか、またいつぞやのマンティアンが姿を現したんだ。りょうの縄張り内で。

だから今回はりょうと接触しないように、アリゼとドラゼを警戒に当たらせる。

すると、そのマンティアンは、アリゼの姿を見るなり襲い掛かってきた。

こうなるとこっちとしても躊躇はしてられない。痛い思いをしてもらって、身を引いてもらうことにする。

「反撃!」

あらかじめ、攻撃を仕掛けてきたりりょう鈴良れいらに近付こうとしたら容赦なく実弾をお見舞いしてやれということで実包を装填していた自動小銃で迎撃することを命じていたから、その一言でアリゼが迎え撃つ。

なのに……

「な…っ!?」

そのマンティアンは、前回の経験で何かを学んだのか、銃撃を見事に躱しながら突っ込んできたんだ。

しかし、光莉ひかり号のAIの中に作られた<仮想AI>で制御されたアリゼは、慌てることなく重作業用のアームを展開。マンティアンのカマの一撃を受け止めた。

標準仕様のメイトギアにさえ性能自体は劣るものの、それでも生身の動物相手なら後れは取らない。

凄まじい速度で繰り出されるマンティアンの攻撃を、アリゼは見事に捌いてみせた。

そこに、ドラゼが加勢。日常作業用に設計されたアリスに比べて警備用に設計したドライツェンであるドラゼともなれば、それこそマンティアンなど敵ではなかった。

なかったはずだ。なのに……!

「…って、マジか……?」

アリゼを上回るパワーと運動性を持つドラゼを前にしても、マンティアンは怯むことがない。

「何だこいつ…! どうなってるんだ……?」

思わず呟いた俺に、

「個体差というものは、時に想定を上回ることがあるのはむしろ常識です。このマンティアンの個体の能力がまさにそれということですね」

エレクシアが告げる。

「にしたって、非常識な……」

ああでも、人間だってアスリートクラスともなればおよそ人間とは思えないパフォーマンスを見せるよな。普段見ていたマンティアンの姿は、人間から見ればもはや戦闘用ロボットレベルに思えていても、あれで<常人レベル>なんだ。普通なんだ。めいかくはその中でもちょっとだけ強かったに過ぎない。

だが、人間にもとてつもない才能を発揮するのがいるように、マンティアンにもそういうのがいるってことか。

こんなのがめい達に遭遇したら……

恐ろしい想像に、俺は背筋が寒くなったのだった。

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