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新世代
走・凱編 敵対させないように
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死刑制度の話になるととにかく感情的になる人間が多い。それは賛成派も反対派もそうだ。個人のレベルでは原理主義的な感情論ばかりでとにかく平行線になる。
もちろん俺も、家族を殺されれば感情的にもなるだろうし、加害者を殺してやりたいとは思うだろう。それは当然の感情だと思う。
だが、そこが最大の<落とし穴>であるということを、人類は気付いた。
『自分はこいつが許せない。だから殺してやる。という発想こそが<殺人>を容認している』
という自己矛盾にな。
そしてその発想は、他人にだけでなく、自分自身にも向けられることがある。それが<自殺の動機の一つ>なんだろう。
ビアンカの場合は、
『怪物のような姿の自分自身の存在を認められない。許せない』
そういう感情が彼女を殺すこともあると思う。だからこそ、
『理由さえあれば人間を殺してもいい』
なんて理屈を根底から否定しなきゃいけないんだ。彼女には<人間としての意識>があるからな。それがある以上は、AIが認めなくても俺は彼女を人間だと思ってるし、彼女自身、『自分は人間だ』という意識があるだろう。
ただ、『生きる』ということ自体がそもそも、
『他者の命をいただいて自分の命とする』
ことである以上は、
『自分が生きるために他者の命を奪う』
のと同義であるという現実も無視はできない。
だからここで、
『<人間>とそれ以外を明確に区別する』
必要が出てくるんだ。
『人間である以上、同族である人間を殺すのは許されない』
という部分を確固たるものにするためにもな。
そういう意味では、ビアンカやシモーヌの存在は非常に危ういものでもある。
俺由来である光と灯と陽は辛うじて人間と認められるとしても、誉達もギリギリ<特異な形質が発現した人間>と認められるとしても、順や和や玲は、人間の姿をしてはいても『人間ではない』ので、敵対するようであれば、排除の対象にだってなり得るんだ。
つまり、俺が、ビアンカやシモーヌや順《じゅん》や和《まどか》や玲《れい》を、
<身体・生命を脅かす危険な外敵>
と認定し、排除を命じると、AIとAIを搭載したエレクシア達は容赦なくその通りにするだろう。念の為に、
『本当によろしいのですか?』
的なことを訊いてくるだろうが、それは決して躊躇っているからじゃない。AIやロボットは基本的に人間のように逡巡しない。メイフェアでさえ、やるとなれば躊躇わない。
現時点ではシモーヌや順や和や玲は俺との関係が良好だから守られているというのもある。
もちろん、そうじゃないからと言ってすぐに排除対象と見做すわけじゃないが。あくまで俺が命令するか、俺の身体・生命に危険が及ぶかすればの話ではある。
となれば、翻って、ビアンカを俺達と敵対させないようにしなくちゃいけないということでもあるんだ。
もちろん俺も、家族を殺されれば感情的にもなるだろうし、加害者を殺してやりたいとは思うだろう。それは当然の感情だと思う。
だが、そこが最大の<落とし穴>であるということを、人類は気付いた。
『自分はこいつが許せない。だから殺してやる。という発想こそが<殺人>を容認している』
という自己矛盾にな。
そしてその発想は、他人にだけでなく、自分自身にも向けられることがある。それが<自殺の動機の一つ>なんだろう。
ビアンカの場合は、
『怪物のような姿の自分自身の存在を認められない。許せない』
そういう感情が彼女を殺すこともあると思う。だからこそ、
『理由さえあれば人間を殺してもいい』
なんて理屈を根底から否定しなきゃいけないんだ。彼女には<人間としての意識>があるからな。それがある以上は、AIが認めなくても俺は彼女を人間だと思ってるし、彼女自身、『自分は人間だ』という意識があるだろう。
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ことである以上は、
『自分が生きるために他者の命を奪う』
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だからここで、
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必要が出てくるんだ。
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という部分を確固たるものにするためにもな。
そういう意味では、ビアンカやシモーヌの存在は非常に危ういものでもある。
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もちろん、そうじゃないからと言ってすぐに排除対象と見做すわけじゃないが。あくまで俺が命令するか、俺の身体・生命に危険が及ぶかすればの話ではある。
となれば、翻って、ビアンカを俺達と敵対させないようにしなくちゃいけないということでもあるんだ。
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