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新世代

明編 第二子

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新暦〇〇二九年三月十五日。



めいの妊娠は、順調そのものだった。ドローンのセンサーにさえ胎児の心音が捉えられるようになってからは、より一層、注意深く見守った。

「エコー検査をすればより確実なんですが、今のデータを見る限りでも、おそらく胎児に問題はないでしょう。普通のマンティアンとしての胎児だと思われます」

シモーヌが光莉ひかり号やコーネリアス号のAIと共にデータを解析してそう告げてくれた。

「そうか。まずは一安心だな」

これでまあ、生まれてすぐにめいが赤ん坊を食ってしまうようなことはないだろうと確認できて、ホッとする。

とは言え、何が起こるかは分からない。油断はできないな。

だから見守りは続けつつ、日々を送る。







新暦〇〇二九年四月十日。



いよいよその時が迫ってきた。

出産だ。

出産が近付くと、マンティアンの雌は非常に凶暴になることがある。じんもかなりおっかない感じだったが、それでも彼女の場合は随分とマシだったのが分かる。

なにしろめいは、元々はかくが見付けた巣だったものを占領し、入れさせないようにしたからだ。

しかしこれは、出産を控えたマンティアンの雌としてはごく当たり前のもので、えいを生んだ時もそうだった。生まれた子供を雄が食ってしまうことを防ぐ為だと思われる。

また、子供が母親の胸に一体化するかのようにがっしりと掴まるのも、一番は雄に食われないようにする為というのがあるようだ。

さらには、実はこれをきっかけにして雄はその雌と別れて他へと移ってしまうこともあるんだが、えいの時のかくは、一ヶ月ほど<宿無し>状態で過ごしただけでめいの下に戻ってきてくれた。

だからといって今度も同じように戻ってきてくれるとは限らないものの、これもやっぱり成り行きを見守るしかないからな。







新暦〇〇二九年四月十二日。



「おお、生まれた…!」

かくが巣を追い出されて二日後、めいが無事に出産した。あくまで巣の外から音声を拾っているだけだが、「にい、にい」と小さな泣き声が聞こえるし、明らかにめいのそれとは違う心音が拾えるので、間違いない。バイタルも正常だ。

さすがに性別までは分からないものの、元気な赤ちゃんであることは間違いない。

「良かった……」

もちろん厳しい世界だからいつ何が起こるかは分からないにせよ、ひとまずは安心だ。

俺はその子をせいと名付けた。晴れやかに一点の曇りもなく自身の生を貫いていってほしいとの願いを込めたものだ。

もっとも、もしそうでなかったとしても俺の可愛い孫であることには変わりないから、自分の願いを押し付けるつもりもないけどな。

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